NHKで坂口安吾原作のドラマが始まったことを知り、再読した一冊。久しぶりに読んだけど、やっぱり昔の本は難しい。登場人物が滅多矢鱈に多いし、その人間関係が複雑で相関図が欲しいと思う程。そしてその入り組んだ艶めかしい多くの登場人物が、次から次へと殺されていく。
これ最後に生き残った人が犯人だよね? と、分かってしまうような展開で、よくもこんな難解な本を読んでいたな~と、昔の自分にも感心するほど。とまぁ、そんな感じで文句を言っていますが、1948年(昭和23年頃)の探偵小説とすれば、抜群に面白かったと思います。
あらすじは、昭和22年の夏、N県の財閥・歌川多門の屋敷で、作家の望月王仁が刺殺される事件が起きたことに端を発し、屋敷に招かれ滞在していた総勢29人の客人や使用人たちが、次々と殺されていくというお話。しかもあまりにも簡単に、そして見事なまでに次々と殺されていくので、もう誰が犯人で、次は誰が狙われるのか皆目見当もつかないカオスな状態に。探偵役の巨勢博士(こせはかせ)は、果たして真相に辿り着くことか出来るのか―――。
そんな感じ。ちなみに登場人物の男女関係が乱れに乱れており、こんなにドロドロした愛憎や恨み、妬み、嫉みが蠢く屋敷の中で、落ち着いて避暑など出来る筈もないでしょうに……と、思います。こんな場所には近付きたくもありません。
ドラマ『明治開化 新十郎探偵帖』は、観てみようと思っています。