感謝

18年ほど前に設計のお手伝いをさせていただいたクライアントが、ふらっと事務所を訪ねていらした。近くまで来る用事があったから寄ってみた―とのこと。手にはお土産まで持って来られているので、きっと思い付いて、ふらっと立ち寄って下さったと言うことではないと思う。

随分とお会いしていなかったので、思わず昔話に花が咲いたのだが、なんでもお子さんたちも巣立ち、これからの時間を見つめ直して「また家建てようと思っていて今、土地探している最中なの。見つかったら、また頼むね」とのこと。時期や予算、住みたい場所に関してもまだ漠然とした、軽い挨拶代わりのような内容でしたが、いやいや景気の良い話を聞かせていただくのは、それだけでこちらの気分も上がると言うものです。

それに家のことを考えられているのは、確かなのだと思います。そんな時にまた思い出していただき、顔を見に来たと言われれば、こちらが喜ぶのは当たり前。ああ、この仕事をしていて良かったなと、実感させていただいた瞬間でした。ありがたいことです。今、目の前の仕事も頑張ります。

コメント

  1. ベティ より:

    素晴らしいですね。私もクライアントとしてですが似た経験があります。以前建築家たちと本を作る仕事があって、大変でしたがなかなかやりがいのある仕事でした。その時に出会った一人の建築家に「私が将来家を建てるときにはあなたにお頼みしますから・・・」と告げました。ご本人はリップサービスと思っていたかもしれませんが、10年後に時期がきて彼に依頼し、自分の住みやすい家が実現しました。彼の作品を見たことはなかったのですが、私のニュアンスを正確に形にしていただけると感じたからです。確かに建築家とクライアントの間には目に見えない赤い糸があるのかもしれませんね。不思議ですが・・・

  2. それは良い出会いでしたね。そして良い形に結びついて何よりでしたね。
    私もリップサービスをいただけるだけでも、有難いことだと思っています。