山口県阿武町の給付金誤振込騒動は、振り込まれた給付金を不当に隠匿した男性が逮捕されたそうですね。ま、逮捕されたからと言って、間違えて振り込まれた給付金が全額返還されるのかは分かりませんが、気になったのはそこではありませんでした。私が気になったのは、この男性24歳は、阿武町の「空き家バンク制度」を利用し、他の場所から転入してきた男性だと言うことです。少し丁寧な言い方にすると、「人口が減少し過疎化する阿武町に、他の地域から引っ越して来て下さいな。どうかこの町に定住し、人口増加のお手伝いをして下さいな」というお願いの下に、遣って来た人だと言うことです。阿武町のHPを見ると、阿武町に定住する意思の元、転居してきた方には10万円の奨励金も出しています。
こうした転居希望者に対して、空き家を格安で貸し出したり、あるいはお祝い金(奨励金)の名目で現金を渡すことは、どこの市区町村でも行われています。つまりそれだけ地方都市の過疎化が進んでいて、人口の流出に危惧しているということです。ここ小田原でも空き家バンクはありますし、その狙いは定住者の増加です。その先には税収の増加なども目論んでいるかもしれませんが、その前に大勢の人が住む賑わいや活気のある町を目指すのは、どこでも一緒なのです。今は人口が増えることが、地方都市における最大の目標なのです。勿論、税収=財源確保のためです。
話が反れたので クルリンパ! と、戻します。そうして引っ越して来ていただいた移住者でしたが、収入が少なく、住民税非課税対象者となってしまいます。その結果、特別給付金を支払う必要が生じて、今回の誤送金騒動へとなります。
これ、そもそも町が意図した定住者増加への目論見と、一致した結果なのでしょうか。雇用の無い地域に人だけ集めても、そこには行政が負担する費用だけが嵩み、期待する結果には繋がってないのではないかということです。勿論、短期間で町が理想とする機能を形作ることは、無理だと理解しています。それまではまず人口を増加させることが最優先と考え、そこだけに特化した施策を打ち立てたのだとしたら、町が発展するのではなく、かえって衰退してしまうのではないかと思うのです。
阿武町は人口約3000人・1500世帯程だと聞きました。その町で4630万円の給付金と言うことは、463世帯が住民税非課税所帯と言うことになります。凄く単純に言って3割を超える世帯が非課税の町って、収支はどうなっているのか他人事ながら気になってしまいます。
定住者を増やすには、「転入者が安心して働ける雇用があること」が一番で、その次に「雇用先で安心して働くための住居があること」だと思います。勿論、今の時代オンラインで仕事が出来る人には、もともとの仕事=雇用があるので、それはそれで心配いりませんが、そうでない人に関しては順序を間違えてはいけないと思います。阿武町に限らずどこの市区町村のHPにも、「雇用」の話が掲載されているようですが、それでも雇用って長く働き続けることって意外と難しい話です。
過疎化する地方都市において定住者の増加対策って、本当に深刻な話なんだと、この騒動を見て思いました。コロナ禍の影響から在宅ワークが増えつつあると聞いていますが、それが人口の分散、地方都市への移住者増加に繋がれば良いのになと、ボンヤリと思っています。