人が住んでいない空き家に対して、国は従来の優遇税制を見直し、しっかりと課税して税負担を増やす方針だと発表したようです。
増える空き家、団塊世代の高齢化でさらに 国は税優遇見直し検討
ご存じの方も多いと思いますが、土地は更地の方が固定資産税額は高いのです。空き家となった建物でも、建っているだけで税額控除が受けられ、安い税金額となるため壊さずに建てたままにしておくことが得策です。さらに固定資産税は建物の築年数などにも影響を受け、古い建物になればなるほど、その金額はどんどん安くなります。だから空き家になってしまった建物に、家具や家電などがたくさんある場合には、その処分費や建物の解体作業費用をかけて更地にするよりも、ずっとそのままで手を付けない方が税金面ではお得です。
ただし老朽化した空き家では倒壊の危険性があったり、不審者が住み着いたり、不審火の発生や、場合によっては消火活動の妨げなったりすることもあり、行政としては扱いに苦慮しています。建物が建っていれば、インフラの整備も必要でしょうし、行政として遣らなければいけないことがあるからです。でも何らかの原因で倒壊でもしたら、所有者は勿論ですが、管理指導をしなかった行政も責められます。だから状態が酷い場合には解体処分の代執行が行われたりするのですが、そこでまた所有者とひと悶着起きたりすることもあります。これ詰まるところ優遇税制に甘えた所有者の、管理不行き届きということなのではないでしょうか。じゃあ優遇税制を見直すか———というのが、今回の話なのでしょう。
ただし単純に優遇税制を止め税額を上げました、だから空き家が減りました、メデタシメデタシとはならないと思います。大切なのはその先。空き家だった建物をリフォーム・リノベーションして再生・再活用させることを推進するのか、そのためにしなければいけないこと・してはいけないことの法的整備とコマーシャル、資金や資材に関してのことを考える必要があります。あるいは空き家はどんどん建て直し、都市の再生を促す方向に進めるのか、その時の所有者の相続を含めた金額的な問題や購入者の資金確保、あるいはインフラ等の行政の対応と言った問題が考えられます。それこそ過疎化する地方都市においては、その空き家を、その町内を、その街区を、その村や町をどう残すのか、あるいは残さないのかまで考える必要があるでしょう。
遣ってから何とかする方法も良いですが、事前に考えてから遣る方法も大切だと思います。いずれにしても空き家問題は、もう待ったなしなのでしょうね。