信頼力のkachi

WBCは日本の優勝で幕を閉じましたが、本当に最初から最後の一瞬まで手に汗握る展開で楽しませて貰いました。まずは優勝おめでとうございます。とくに春分の日に行われた準決勝のサヨナラには、思わず声を上げてしまいました。決勝戦は仕事中でしたが、9回裏だけはLIVEで観てしまったほど。いやー楽しかったです。

この大会を通して思ったのは、個々の選手のスキルの高さは勿論ですが、信頼関係の強さが何と言ってもカギだったと思いました。監督が選手を信頼し、選手は監督の采配を信頼する。そして選手が他の選手を信頼する。大会に向けて編成されたチームなので本当ならば、個々の選手のプライドやモチベーション・目標が違い、そこに温度差や軋轢が生まれても当然な筈なのに、それを微塵も感じさせないチームの結束力の高さ。それはひとえに信頼する力だったと思います。

どんなに優れた選手でも不調の時はあります。その時に不調の選手の心情に深く共感し、一緒に苦しみ悩む人もいるでしょうが、チームだからこそグランドの中では一緒に沈むのではなく、みんなで助けて引っ張り上げてあげることが大切です。そしてそれを見事に実現していました。また開幕前にペッパーミル・ポーズを知っていた人が、どれほどいたでしょう。ですが初戦から日本中で大人気になったそのポーズこそ、チームの力、信頼する力の賜物だったと思います。

これは一般社会でも同じことです。例えば大抵の仕事はチームで行われています。建築の世界でも大勢の専門家が集まって、一つの建物を造り上げます。その際、ちょっとしたミスや段取り違い、対応のまずさが生む失敗もあるかもしれません。でもそれを補いあって完成に漕ぎ着けます。

ですが稀に、ほんの小さなミスや躓きに上席が動揺し、止せばよいのにオタオタと下手な対応を取ろうと、無様に走り回ることがあります。それで結果が出ればまだ良いのですが、大抵の場合、事態を悪化させてしまいます。問題の解決を複雑にするのなら、じっと黙ってみていれば良いのです。上席とは、最後の最後に責任を取ることが仕事です。手柄は下の人間の物、謝罪や責任は上席が取る物なのです。そしてそんな泰然自若な上席にこそ、周りの人間は付いて行き、結果を出すことに繋がるのだと思います。今回のWBC日本チームの強さは、まさに信頼力の高さにあったのではないかと感じました。

ちなみに「弱っている時に一緒に弱ってしまうのではなく、ステージの上では周りのみんなが、引っ張り上げてあげることが大切」と、話されていたのはTAKAHIRO先生です。