天井の上を歩くのは止めましょう

『屋根裏の散歩者』と言えば、大正14年(1925年)に発表された乱歩の短編小説で、不可思議な殺人事件を描いた作品のタイトルです。屋根裏を徘徊し、他人様の生活を天井板の節穴から覗き見て悦に入るという、なんとも言えない性癖は、読者に一定の共感と不快感を与え、想像できる恐怖と卑しさを感じさせる作品だったと思います。この作品のある種の救いは、この散歩劇が卑猥な方向に繋がっていないところにあったと思います。勿論、一定のエロチシズムは含まれていますけどね。

そんな他人様の生活を覗き見て悦に入る、しかも天井裏を徘徊して犯行に及ぶという犯罪が現実に起きたそうです。しかもこちらは男性が若い女性を狙った卑猥な犯罪なので、余計に気持ち悪いです。

FNNプライムオンライン 屋根裏“のぞき穴”から女子大生を約1年間“観察” 「かわいい女性がいると聞いた」43歳男を逮捕…手製はしごで何度も侵入か

古い木造アパートの場合、隣の住戸との間を界壁と呼ばれる壁で、塞がれていない場合もあります。その場合には、まさに行き来が自由になってしまうので怖いところなのですが、近年のアパートには界壁が設けられているので、前提としては隣の住戸の上に行くことが出来ません。が!この事件のように界壁を壊せば不可能ではありません。壊す際には、それなりの音や埃も出るでしょうし、振動だってあるので気付かれずに壊すことはかなり難しいとは思います。それでも昼間、留守になっていることが分かれば、大胆に壊すことだって可能でしょう。

天井の上でなにか違和感を覚えたら、直ぐに大家さんに連絡して確かめて貰うことが大切です。この事件のような不審者じゃなくても、蜂の巣やネズミ。ハクビシンと言った害虫の可能性も有るので、用心するに越したことはありませんからね。

ちなみに天井を吊っている部材は、人の体重を支えられるほどの強度はありません。天井板も薄く、大人が載れば踏み抜いてしまうことでしょう。まして建物が古ければ、その危険性は高まります。どうか真似をするようなことは、絶対にお止め下さい。

コメント

  1. ベティ より:

    よく「事実は小説よりも奇なり」と言いますが、本当ですね。乱歩のあの話は気持ち悪いけれどあれは小説だからなとたかをくくっていました。現実が小説を模倣したということなんでしょうか。
    いくら痩せた人でもそれなりの体重があるので不審な物音がしたんじゃないのかなと思います。隣人の怖さというミステリーの題材にもなりそうですね。

  2. この犯行の場合、隣家との間を塞ぐ界壁が設けられており、その界壁を破壊して隣家の天井に行ったという点。これ凄く労力を必要としていますが、某家賃保証を謳うアパート・メーカーの建てたアパートには、そもそも界壁が存在していませんでした。つまり天井裏は歩き放題ということ。この欠陥が発覚して問題になりましたが、いまだに全ての建物が改善されてはいない筈です。つまり天井を覗くと、ずっと向こうの住戸まで見通せるということ。屋根裏を散歩し放題の建物は、まだまだたくさん存在するという事を知っておくべきですね。物件探しの際にセキュリティーを気にされる方は多いですが、予想もしていな箇所に「抜け穴」があるかもしれないので、気を付けたいですね。