2020年には約82万人居た住宅建設技能者(早い話が大工さんや左官屋さんといった専門の職人さん)が、2040年には約30万人減り、51万人程度になるとの予測値が出たそうな。確かにねぇ……と、実感します。現場で合う大工さんたちが皆さん高齢化していて、若い大工さんを見掛けなくなりましたからね。ここ最近お会いした大工さんたちも、皆さん私より先輩でしたからね。少し前の現場でお会いした大工さんなんて、70代も中盤になろうかと言う御歳で、「怪我したら止める」と、話されていたことを印象的に覚えています。
昔は「職人」と言えば、長い修業期間を経て、ようやくなれる専門職でしたが、今は比較的簡単に成れる時代になりました。少なくても辛い修業時代を何年も経験しないと、成れない時代ではなくなりました。(勿論、一部の例外はありますよ)ですが相変わらず汚れる外仕事だし、夏は暑いし冬は寒い。簡単に成れる時代に変わっても、食べていこうとしたら、越えなければならない壁はいくつもあります。少なくとも出社してタイムカード押したら、月末の決まった日に決まった額の収入が貰えるわけではない。有給は無いし、工期と言う絶対的な縛りはあるし、次の仕事があるかどうかも分からない。人が驚くほど高い給料を貰い、休みの日には旅行に出かけ、高級車を乗り回すなんて生活が出来るならまだしも、そんな生活には縁遠い。そりゃあ確かに若い人は避けますよね。
でもね、逆に聞きますけど、それじゃあそんな仕事はどこにありますか?って話。9時から5時までエアコンの効いた涼しい部屋で仕事して、残業も無ければ休日出勤も無く、成果が出ようが出まいが驚くほどの高級が貰えて、贅沢すぎる福利厚生があり、クライアントは紳士で穏やかで良い人ばかり。何の文句もございませんなんて仕事があるなら、教えて欲しいってもんです。あ、永田町にはそんな職場があったかも?
話が反れましたが、住宅を建てる職人さんが高齢化するとどうなるか? いろいろと考えられることはありますが、どんな方向に進んでもあまり明るい未来が思い浮かばないことが残念です。さて貴方が家を建てる時は、一体どんな職人さんが家を建ててくれるのでしょうねぇ……。
私、現場から日本語が一切聞こえない住宅現場を知っています。(実話です)