造成工事も完成間近―新築計画

新築計画の御依頼をいただいている造成地。1月に完成する予定だった造成工事が遅れ、今月末には完了する予定。それぞれの宅地の中に段差があり、ご依頼をいただいている宅地の場合には、南側に約90cmの段差がある。当然建物計画にも影響が出るし、駐車場や庭の考え方にも影響を与える。

ではなぜ、それぞれの宅地内を平らにしないのか? 正確な理由は開発業者に聞かなければ分からないが、たぶん費用の問題ではないかと想像する。斜面地に数区画の宅地を造成する場合、それぞれの宅地を平らにしようと考えると、道路の傾斜を緩くして、区画全体の勾配を緩くする方法がある。だけどその場合には一番奥の土地と、その向こう側の隣地との高低差が大きくなるため、そこに背の高い擁壁を作る必要が生じる。

勿論、基礎の底盤は宅地の中に造らなければならないので、その宅地に建てる住宅には大きな制約が生まれる。また各宅地の隣地側との高低差も大きくなるため、そこにも大きな擁壁を作らなければならない可能性もある。大きな擁壁を作れば、費用も掛かるし工事期間も長くなる。それらの費用はすべて土地代に計上されることに成り、結果的に値段の高い土地となる。それでは土地を売りにくいし、買う方も買いにくい。

反対に道路勾配を急にする方法もありそうだが、道路の角度には一定のルールがあり、それを逸脱した勾配とすることは許されていない。仮に許されたとしても、道路が急傾斜で、土地が平らだとしたら、車を停める際に間違いなく毎回、車の下側を擦ることにだろう。そんな土地は誰も買わない。だからその間を取ると、こんな感じになるのだろう。造成工事に過分な費用を掛けず、結果的に土地代を高くしない選択をし、道路と駐車場との関係に一定の示唆を示した宅地形状なのではないかと解釈している。

さて同様の形状をした宅地に、どんな家が建ち並ぶのか、その意味でも楽しみな計画が始まる。

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