国内最大級の新型潜水艦「じんげい」が、三菱重工業から防衛相に引き渡されました。これは海上自衛隊の現行潜水艦「そうりゅう」型の後継型で「たいげい」型の3番艦になります。この潜水艦、何が凄いって、やはり動力源がリチウム電池を使用している所でしょう。
海上自衛隊の最新鋭たいげい型潜水艦3番艦「じんげい」就役――1番艦「たいげい」は試験潜水艦に種別変更
リチウム電池と言えば、最近ではEV車に利用されている事でも知られていますが、この電池の最大の敵は「水」です。水に触れると一瞬で爆発的な燃焼を引き起こし、ひとたび燃え始めると燃え尽きるまで消すことは不可能です。またその際に発生する煙は猛毒で、吸い込むと一瞬で絶命するとも言われています。
たまにモバイルバッテリーが発火したり、スマホが充電中に燃えると言う事故を見掛けますが、あの原因の多くは粗悪なリチウム電池です。強い衝撃にも弱いので、落としたりぶつけたりすることで発火する危険性も有ります。ただし利点も大きく、長持ちだったり出力が大きかったり、小型化が可能だったりと、捨てがたい魅力がたくさんあるのです。
潜水艦の動力源として圧倒的に有利なのは原子力ですが、日本では原子力潜水艦を造ることも持つことも出来ません。なので日本の潜水艦はディーゼルなのですが、ディーゼルは定期的に浮上して酸素を補給することが必要です。隠密行動を旨とする潜水艦が海面に浮上している時間は完全に無防備な状態となり、作戦行動に大きな支障が出てしまいます。これは潜水艦にとっては大きな問題です。その浮上までの時間を伸ばすことと、モーターの駆動音を静かにすることが出来るのが、このリチウム電池の最大の魅力なのです。
日本の近隣諸国でも、日本の真似をしてリチウム電池を搭載した潜水艦を製造しているようですが、たぶん無理だと思います。日本の潜水艦技術は1940年当時からの実績があり、その発想と技術力の高さは世界一です。回りを海水に囲まれた潜水艦に、リチウム電池を搭載するなんて発想自体が、日本の高い技術力と独創性の為せる業です。
この「じんげい」は横須賀港を基地にするそうなので、いつかまた横須賀に行って観たいと思っています。
(写真は2020年11月に横須賀基地を見に行った時の物 停泊中の潜水艦は「たかしお」かなぁ?)