『探偵小説の鬼 横溝正史 謎の骨格にロマンの衣を着せて』

少し前の本ですが、ようやく手に入れました。横溝氏の功績や歴史、魅力の源を改めて探る一冊。石坂浩二氏をはじめ、多くのミステリ作家さんも寄稿、解説をされています。最近、少し積読本が増えていますが、秋の夜長にゆっくりと拝読します。

ちなみに私、「ミステリ小説」よりも「探偵小説」と言う呼び方が好きです。ミステリ小説と聞くと、ホラーやSFの要素も含まれていて、純粋に「犯人+事件+名探偵=私の好きな小説」から少し外れてしまうことがあるから。

でも探偵小説は違います。単純に純粋に犯人が事件を起こし、それを探偵が推理すると言う構成なので、安心して読むことが出来るから。その探偵小説の中でも、横溝氏の作品は大好きです。地方都市に古くから伝わる因習や童謡、血の繋がりが生む憎悪と愛情、悲惨な死と芸術的とも呼べる殺戮、絶対に犯人ではない思える人物の残虐な犯行、そして鋭い洞察力と観察力、行動力を持ちながらも、なぜかあと一歩のところで事件を防ぎ損ねてしまう名探偵。それらすべてがダークな雰囲気の中で繰り広げられている展開は、小説と言う文字の中だから想像できる世界で、その中に浸り込む瞬間が楽しいのですよ。

そんな探偵小説の生みの親、横溝氏の世界に浸りたいと思います。