霧除けの大切さ

窓の上に設けられた小さな庇の事を「霧除け きりよけ」とか「小庇 こびさし」と呼びます。最近の家ではあまり見ることが無くなりましたが、昔の家には必ず付いていました。霧除けを設ける理由には夏の直射日光を防ぎ、家具や室内の日焼けを防ぐことがあります。また雨の日に少しだけ窓を開ける際にも、霧除けの存在は重宝します。車で言えばドアバイザーみたいな物と言っても良いでしょう。

そんな霧除けが、最近の家に設置されなくなった理由の一番は節約だと思います。設置にはそれなりのコストが掛かりますから、それを節約するのが大きな理由の一つでしょう。他には窓やガラスの機能が向上したから。窓周りの防水性能などが向上したことと、ガラスが高機能となったことで、その必要性を感じなくなったのだと思います。他にも設置すると何となくダサいから。これは車にドアバイザーを付けることを嫌う方が、一定層居ると思いますが、それと似たような理由だと思います。最近の家は外壁にサイディングを貼る家が主流なので、その相性の悪さも一つの理由かもしれません。

そんな霧除けですが、出来る限り、予算が許す限り、クライアントから拒否されない限り設置したいと思っています。理由は単純に、その方が家が長持ちし、見栄えも良いと考えているから。

家のトラブルで一番嫌なことって、たぶん雨漏りだと思っています。それじゃあ雨漏りの一番多い場所はと言うと、たぶん一番は屋根、二番目に窓周りです。その二番目のリスクを下げたい。さらに言えば、窓の隅から流れ落ちるような黒い染み状の線を少しでも無くしたい。そのために役に立つものが、霧除けだと思っています。

とまぁ彼是書きましたが、写真の霧除けは既製品ではなく、板金屋さんが工夫して設えたこの家だけの霧除けです。目立たないし、誰にもその存在を感謝されないけど、霧除けってけっこう良い仕事をしているのです。家を建てる時に、あまり気にする方は居ないと思いますが、出掛けた時に周りの家を注意して見られることをお薦めします。霧除けがちゃんと付けられている家と、そうでない家を比較すると、ひょっとしたら何かに気が付くかもしれません。家を建てる時に気を付けることや考えることは、きっとそうした視点の中から気付くのかもしれませんね。

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