『あんたを殺したかった』ペトロニーユ・ロスタニャ著

「男を殺した」と、警察に自首してきた一人の若い女。不動産会社を営む資産家の家で、ハスキーパーの仕事をしていた女は、レイプされそうになり反撃したはずみに男を殺してしまった。死体を敷地内で燃やし、近くの池に骨を捨てたと自供する。警察は屋敷を捜索するのだが、それらしい痕跡は見つけられない。何かがおかしいと女の過去と男の過去を調べ始めるのだが―。 フランスの作家が描く話題の一作。

書店で購入した一冊。物語の導入部は簡潔で、謎の提示も分かりやすく吸引力は強い。ただし男の過去、女の過去を探る中盤が長いため、少しダレてしまう感じは否めない。

また日本とフランスの司法制度などの違いから、自首して来たと言っても被害者も見つからず、事件の痕跡も見付けられず、捜索願いさえも出ていない状況の中、こんなにも劣悪な環境の留置所に長い時間拘束され続けることに共感できないため、その辺りが読んでいて若干辛い。

またオチが外国的というか、日本の作品では、こうしたオチは少ないような気がするのだが、私が知らないだけだろうか。何よりも最大の疑問はあんたとは誰? そしてそれを言っているのは誰? と悩んでしまった。あの人のことを言っているとも解釈できるし、別の人のことを指しているとも解釈できたため。私の読解力の未熟さ故。