『論理の蜘蛛の巣の中で』読了 - 34

論理の蜘蛛の巣の中で
論理の蜘蛛の巣の中で
巽 昌章
今年度の推協賞評論部門受賞作。
京大ミス研のOBで、ミステリーの評論で活躍する氏が、小説現代の増刊「メフィスト」1998年12月~2006年6月増刊号で掲載された物を、加筆訂正し一冊にまとめた評論集。
正直言えば、私には少々難しかった。
いろいろな作品や作家を、縦から横から斜めから検証し、類似の作品や対極にある作品などと比較しながら、誉めたり千切ったりしている(笑)
ただ、既読のミステリーが沢山出てくるので、ある種の親近感を持って読み進めることが出来るが、どちらかと言えば、完全な学術本のような印象を受ける。つまり大衆に楽しんで貰おうとか、昨日今日ミステリーを読み始めたばかりの新米ミステリー読者に、理解して貰おうなんて感じの物ではない。
しかしこの一冊の向こう側には、何百・何千と言う資料(ミステリー書物)の山が、シッカリと見えることも確かで、その知識や見識には脱帽。
8年と言う時間の中で書き上げた一冊の重みを、確かに感じました。
ちなみにこの本は、推協賞の他にも「第7回本格ミステリ大賞」の評論部門も受賞しているW受賞作です。
『犯行現場』も、エントリーだけはされていたので、W落選ですが(笑)