■一つは「ニチアス社」の、製品性能のインチキ騒動。
これは家の軒裏などに張る材料の耐火性能試験で、材料に水を含ませ、燃え難くすると言うインチキをして、試験を合格させていたと言うもの。やってる事がレベルが低い・・・。タカトシじゃないけど「子供か!」と、ツッコミたくなるようなお粗末振り。その材料を使った住宅が、10万棟に及ぶとも聞いている。ちなみにうちが設計した住宅には、ニチアス社の耐火ボードは使っておりませんので、ご安心を。←ココ大事
ちなみに、その材料が使われている住宅はどうなるかと言えば、火事が発生した際に国が定めた基準より、多少「燃えやすくなる」。あるいは隣家からの延焼を、受けやすくなると言う事。ご心配な方は、ハウスメーカーさんや工務店さんに、お問い合わせを。
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■もう一つは建築基準法施工規則の改正
耐震偽装事件防止を考え、6月20日に改正された建築基準法だが、その改正内容があまりにもお粗末で、現場は混乱を極めているのが現実。住宅の着工件数は大幅に落ち込み、9月だけを取ってみれば、前月比のマイナス44%だと聞く。こんな落ち込み方は異常で、建設業界だけでなく、日本経済全体にも影響を及ぼしかねない現状だ。
国交省は「これはシマッタ!」と思い、9月25日に建築指導課長名で「もっと確認作業はスムーズにやろうね~」的な技術的助言を通知した。幾分はマシになったが、それでも現場の混乱が全て落ち着いた訳ではない。そりゃあそうだ!だって「技術的な助言」と言うのは、「こう言う扱い方もあるよ~、参考にしてね~」と言う程度のニュアンスで、御身大事な役人が、自信の裁量で一度絞めた手綱を緩める筈が無い。そんな事をして、万が一に何か問題が発生した場合、責任取るつもりなど更々無いのだから。
と言う事で、10月30日付で国交省は施工規則を改正する事にした。つまり助言じゃなくて、法律に明文化することで事態の収拾を図ろうと考えた訳だ。
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これにより別添の添付義務や、計画変更に対する事務処理が改正される事になる。別添の完全添付が無くなっただけでも、確認申請時の負担は大幅に減る。また計画変更に関しての対応が変わることによって、現場作業の遅延や引渡しの時期が伸びると言う事も少なくなると思われる。
なんだか回り道していると思われるが、建物を正しく作る為の試行錯誤だと考えれば我慢もしよう。ただし、第二第三の姉歯は依然として現れているし、先に書いたニチアスのように、使っている材料自体がインチキだと言う事例も後を経たない。消費者全員が知識を持ち、専門家と同等に賢くなる必要は無いが、せめて「誰が正しく造ってくれるのか?」、「誰が自分の味方なのか」を見分ける眼力ぐらいは、備えるべき時代なのかもしれませんね・・・・・・残念ですが。