『いっぺんさん』 読了-10

いっぺんさん (いっぺんさん)
いっぺんさん (いっぺんさん)
朱川 湊人
「日本ホラー小説大賞短編賞」を受賞され、ノスタルジックホラーの名手と評される朱川さんの短編集。表題作の『いっぺんさん』をはじめ、全八話が収録されている。
朱川さんの本を読むのは初めてだったのですが、いやいやいやいや、なんか凄いですね~。作品全体の印象としては、主人公が大人になった今、子供時代を振り返る回想録のような書き方や、あくまでも主人公の一人称オンリーで書かれている文体が、作品に閉塞感を持たせ、「怖い」と言う印象を上手に演出しています。
都市伝説チックな印象を感じさせる『蛇霊憑き』は、惨殺された妹の生前の様子を、姉の一人称のみで語っていくと言うストーリーですが、徐々に「狂気」が加わっていき、その崩壊の様が不気味です。
また大人になった主人公の男性が、初恋の幼なじみの思い出を語る『八十八姫』は、怖さの中に郷愁を内包し、まさにノスタルジック・ホラーと唸らせる。
また、氏の作品を読んでみたいと思わせる一冊でした。

コメント

  1. ももんが より:

    直木賞獲られた前後に、朱川さんの本は良いって言っといて、最近めっきり読んでませんでした。
    図書館で借りてこようかな。
    「花まんま」と「かたみ歌」もいいですよ。
    ホラーは気持ち悪いし、ほのぼのしてる話はどこまでもほのぼのしてて好きです。

  2. 探偵長 より:

    「花まんま」は知っていたのですが、その時は触手が伸びませんでした。朱川さんはホラーと言う印象が有った物で。でも今度、読んでみます。
    怖い所は、目を瞑っていれば平気ですから。