『猫風船』 読了-25

猫風船
猫風船
松山 巖
表題作の『猫風船』を含む、松山さんの短編集。
全体を通して、まるで白昼夢を観ているような雰囲気を感じる。
熱気で空気が歪むような真夏の午後に、縁側でこの本を読むと、まさに異世界へ誘われるだろう。
行間から、熱を、揺らめくような暑さを感じる。まさに今の時期に読むに、相応しい幻想的なイメージを感じさせる一冊。
『猫風船』とは、夏の日に公園のベンチで一瞬まどろむ男。目を覚ました次の瞬間、空一面に風船のように丸く膨らんだ無数の猫が浮かんでいる・・・なんて作品。引き出しが多いのですね、松山さん。