いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5) (角川文庫 も 16-5)
厳格で躾けに厳しかった父が死んだ。
一周忌の相談を始めた頃、父が生前に浮気をしていた事を知る。父を嫌っていた子供達は、父の事を何も知らなかった自分達に気付き、父を知る旅に出る―。
青少年を主人公にした作品が多い森さんが、大人の心を描いた作品。でも子供と言う立場の純粋な部分と、大人である心の部分が溶け合って、自分の正直な気持ちが分からない。そこを割り切らない、理解出来たと言い切らない曖昧さがあり、そこに共感できる。
思慮分別が付いた大人だから、自分の心、他人の心が全て分かる訳ではない。そんなに人は単純じゃないと言う事が、文字の間から滲み出ている。ともすると、まどろっこしいと感じ、嫌いだと言う人も居るかもしれない。
ちなみに、森さんの作品だからと言って、中身も見ずに子供達に与えるのは考えものの一冊。だって大人にしか分からない性描写が、そこかしこに散りばめられているので、知らずに子供が読むとドキッとするかも?(笑)
さて、そろそろお仕事用の本を読まねば・・・。