『死体を買う男』 読了-50

死体を買う男 (講談社文庫)
死体を買う男 (講談社文庫)
乱歩の未発表作品と匂わせる作品『白骨記』の、連載が始まる。
複雑怪奇な謎を秘めた作品は、乱歩とその友人・萩原朔太郎の二人が推理する展開で、そこにはオドロオドロシイ謎が、二重三重に仕掛けられている。そして現実社会でも、この作品に絡む謎が進行していく。謎が螺旋階段のように絡み合う本格ミステリ―
この作品、発刊された当時に、買おうか買うまいかを悩みながら買わなかった本だったので、今回読めてとっても嬉しかった。「作中作」「乱歩の未発表作品」「双子」「女装する男」「探偵が乱歩と詩人・萩原朔太郎」と、琴線震わすアイテムが満載だったので、読む前から期待値が高かったのだが、うんうん、期待通りに楽しかった。
双子が登場する事件の場合、読み手は「入れ替わり」を前提に読んでいるのだが(特にへそ曲がりの読み手は/笑)、その読み手をいい意味で裏切る、二重三重のどんでん返しはお見事でした。また乱歩と朔太郎の探偵コンビも、乱歩がワトスンで朔太郎がホームズと言うのも良い。(まっ、現実的には乱歩はあんな軽い感じではないと思うが/笑)
読後に、乱歩を読みたくさせる一冊でした。