答えの無い問い

先日依頼されたエッセイとイラスト(のような物)を、出版社に送った。
締め切りよりは少し早いが、締め切りギリギリまで時間を掛けても良いのは、それなりの人だけ。
私みたいな者は、少しでも早く上げておかないと。
原稿を書き終える事を、「脱稿」と言うらしい。
そんな言葉がある事は知っていたけど、「脱稿」と呼べるほど長い文章ではないし、それにそう言う専門用語は専門家が使うもの。
私の場合では、やっぱり「原稿を書き上げて送った」と、言うのが似合ってる。
送った原稿の確認の為に電話したのだが、とても緊張した。
何でこんなに緊張するんだろうと思うぐらい、ドキドキした。
ご依頼くださった方が、大手出版・有名雑誌の編集長さんだった事もある。
私の専門分野ではないと言う事もある。
一度もお会いせずに、電話だけで遣り取りしているせいもある。
私以外にエッセイを書かれる方々が、これまたその道の第一人者ばかりだと言う事もある。
そんなこんなの理由が、てんこ盛りだ。
こんな内容で良いのか?
稚拙じゃないか?
相手が意図した物を書いているのか?
いろんな事を考えてしまい、書いては消し、書いては消しを繰り返した。
エッセイでも、どんな文章でも書く事は怖い。
「これで良し!」と言う絶対が無いから。
それは家のプランを作ることに似ている。
どんなに完璧だと思いながら書いたプランでも、次の日に見ると、違うように感じる事がある。
建築は理数系の学問だと言うが、それは違う。
理数系の学問は、どんな難問でも必ず、たった一つの正解に辿り着く。
でも建築に、唯一無二の正解は無い。
あるのはただ、自分なりの正解だけ。
文章を書く事にも、唯一無二の正解は無い。
自分なりの、今の感性・感覚が有るだけ。
そんなこんなを全部ひっくるめ、たぶん「評価される怖さ」を、感じたのだと思う。
運良くエッセイが掲載されるようならば、皆さんがお手にとって頂けるのは、今月末の予定です。
その節はまた、宜しく、お願いいたします。