城址公園のウメ子逝く

小田原には小田原城に併設された動物園、小田原城址公園がある。
城に動物園が併設されているのは国内でも珍しく、少し前まではライオンや熊も居て、無料で楽しめる城址公園は、桜の時期良し、散歩に良し、小さな赤ちゃんを連れたお母さんにも良しと言う、この界隈の人にとっては、とても馴染み深い場所だ。また動物園と隣り合う形で、小さいながらも遊園地もある。城址公園内を走る電車やコーヒーカップは今もあるし、耐震性の問題から撤去されてしまったが、観覧車だってあったほどだ。
小田原城整備の名の元に遊園地は少しずつ取り壊され、動物園の動物達も、移動させられたり、あるいは死んでしまったり・・・。
そんな中で唯一、コイツが居る間は城址公園は不滅だと思われていたのが、象のウメ子だった。
このウメ子、私が子供の頃から、ここに居る。
小田原の人間は皆、ウメ子を見て育ったと言っても過言ではない。いや、大袈裟じゃなくて。
そのウメ子が、17日未明に息を引き取った。推定年齢62歳、死因は老衰だったそうだ。
そんな年だったのかと、今更ながらに驚いた。
そうか、私より年上だったんだ・・・・・。
日本最高齢(推定62歳)の象のウメ子逝く

昨今、核家族だ、少子化だ、子育てに悩む母親だと、小さな子を育てる母親のストレス問題は、深刻化していると言われている。いわゆる「育児ノイローゼ」ってやつだ。
ここ小田原でも、そんな母親は沢山居るはず。そしてそんな母親たちが、お金も掛からず、子供を遊びに連れて行ける場所が城址公園であり、遊んでくれた動物がウメ子だった。
男の私にも、ウメ子にはいろいろと思い出がある。
そのウメ子が死んだ。
城址公園の景色が、また変わっていく。
シルバーウィークと呼ばれるこの大型連休に、ウメ子の姿が見られない事が残念です。