『ランナー』 読了-12



将来を有望視された長距離ランナーの碧李は、母と幼い妹の三人で暮らす高校一年生。
だが複雑な家庭の事情を理由に、走る事を止めてしまう。妹を守るため、母を守るためという理由を言い訳にし、走ることから逃げ出してしまう碧李だが、本当の理由は別のところにある。
コーチが、マネージャーが、そして親友が見守る中、碧李は再び走り出そうと決める。

あさのさんの『バッテリー』や『MANZAI』のような印象を持ったまま読み始めると、大きく裏切られることになります。それが良い意味での違いなのか、そうでないのかは読み手の判断ですが、私はそこそこ重かったです。
物凄く閉塞感を覚えます。息苦しいぐらいに。
だからこそその閉塞感から抜け出そうとする碧李の、走ることへの逃避、あるいは希望、あるいは期待が対比され、そこに太陽を感じられるのですが。
また、あさのさんの作品の場合、主人公より脇役のほうに魅力を感じてしまいます。
腰を痛めてしまう親友の言動に、ついつい興味が行ってしまうのです。二番手が一番を応援する心情、支えていく気持ちが切ないように思えてしまうからだと思います。
出来ることなら、続編を読んでみたいと思わせる作品でした。