新盆飾り


故人が初めて迎えるお盆を、新盆と言う。
新盆には玄関先に白い提灯を吊り下げ、故人が迷わずに帰って来られる様に目印にする。
関東と関西ではお盆の時期も違うようだが、静岡辺りでは8月がお盆月で、8月に入ったら早々に新盆用の提灯を吊るすらしい。たぶん故人の道標という意味だけではなく、御近所や親戚への「新盆を迎えます」のアピールも兼ねているのだろう。
そんな新盆用の提灯を吊るすことになり、ふと思ったことがある。それは最近の家は、そんな提灯を吊るすことさえ難しい家が、とても多いと言うことだ。玄関先に釘やヒートンを打つ場所が無かったり、たとえあったとしても、そこに提灯を吊るすと玄関扉が開かなくなってしまう家もある。
きっと核家族の家が多いから、仏壇を置いたり、提灯を吊るしたりする風習自体を考慮していないからだろうが、いざその段になってみて、初めて風情が無いことに気付く。
まぁ最近ではマンション住まいの方も多いので、ベランダや室内に吊るしておくこともあるらしい。だから絶対に玄関に吊るさなければいけない訳でもないのだそうだが、やはり故人には玄関から帰って来て欲しいと思うのは、残された者の共通の想いなのではないだろうか。
風情が全てとは言わないが、全く無いのも如何なものかと思う。
お盆とは、そう言うことも含めて故人を思う日なのでしょう。
ちなみに、こんな行灯も買ってみた。
子供の頃、家にはクルクルと灯りが回る行灯があり、それを組み立てるのが私の役だった。勿論、片付けも私の役目だったのだが、仕舞い方を間違えると上手く箱に収まらなくて難儀した。けっこうシビアな作業だったのだが、子供心に役割を与えられるのは嬉しかった事を覚えている。
だから行灯を傷つけぬように丁寧に組み立て、分解した。紙を破かぬように気を付け、組み立て終えると、一人でくるくると回る灯りに見入ったこともある。今思うと、そんな役目を任されていた事が、何かに繋がっているように思うし、子供が育つとは、きっとそんなことなのかもしれないとも思う。
行灯
今年、お盆の間、事務所をお休みとさせていただきます。
8月13日(月)~8月16日(木)まで。
宜しくお願いいたします。
天工舎一級建築事務所
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