またしてもニセ1級建築士が、9人も見付かったそうな。
その内の二人は、大手ハウスメーカーの「積水ハウス」に務め、こともあろうに管理建築士まで勤めていたと言うから、これは性質が悪い。
ニセ1級建築士、「積水」にも…新たに9人発覚
管理建築士とは、その設計事務所で設計する全ての建物に関して、技術的事項を統括管理する人。
だから大勢スタッフの居る事務所では、一番偉い人――という意味。
ちなみに2008年の建築士法改正時には、建築士の試験に合格しても、そこから3年以上の実務経験を踏まえた者が管理建築士の講習を受け、試験考査に合格しなければ管理建築士になることは出来ないと定められた。
まぁ、建築士免許を偽造する方もバカなら、それを雇う方にも全く問題が無かったとは言い切れないが、そこは置いといて・・・・・・・。
驚いたのは、その関わった建物の数だ。
神奈川県厚木市の「積水ハウス神奈川シャーメゾン支店」に務めていたインチキ1級建築士は、1989年に入社してから96年までの間に、管理建築士として762件の建物の設計関わったとある。
平たく考えれば、およそ7年間の間に762件ということ。年にして約108件。つまり3日で一軒ペースで、建物の設計に関わっていたことになる。
別にこのインチキ設計士が、全ての建物を設計したとは考えていない。当然社内のスタッフやら、下請け事務所やら、ひょっとすると営業マンが打ち合わせしながらスケッチしていたかもしれない。でも立場は管理建築士さんだよね?全ての設計図面に、目は通していたんじゃないの? 関わったこの762件の建物の確認申請書には、管理建築士の氏名と免許書番号を記載して認可を受けていたんじゃないの? もしそうだとしたら、このハウスメーカーは「我が社も被害者なので」とは、言い切れないような気がするし、確認を認可した全ての認可期間にも、「責任はありません」とは言えない気がする。だって確認申請書には、管理建築士の免許のコピーが義務付けされてるんだから。
もっと言うと、もしこのインチキ管理建築士さんが、その職務を真っ当に果たしていたとしたら、たぶん寝てる暇はないよね?(笑) 逆に言えば、もし管理建築士としての職責も全うせずのインチキ管理建築士さんだとしたら、その点にだって会社は問題があるような気がする。
こういう不届き者が出て来る度に、建築士性善説から性悪説に変わっていき、その印象が定着してしまうのが怖い。バレなきゃ何しても良い。ズルしても人が見てなきゃ良いんだ! それが常識になる時代は嫌だ。
たとえ人が見ていなくても、自分は知っているし、お天道様は見ている。
「ずるい事をすると罰が当たるよ」と教えてくれた、おばあちゃんの言葉を思い出す。
天工舎一級建築事務所
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