ベルジュ、お前もか
小田原駅東口正面に建つ箱根登山デパートが、来年3月一杯を目処に閉館すると発表された。
売り上げの減少と、建物の老朽化が理由らしい。
小田原駅前専門店ビル「ベルジュ」閉館へ、また姿消す玄関口の“顔”
発表には既存建物を解体して、新規施設の建設を検討すると書かれているが、検討した結果、どうなるのか分からない。
一昔前の小田原駅東口前には、丸井が建ち、西武系デパートの志澤が建っていた。
小田原駅の地下街には商店が並び、近隣市町村に住む人が、買い物に出かけると言えば小田原だと言う時代があったほどだが、それも今は昔。
今は丸井の後にパチンコ屋と居酒屋が店を構え、志澤の後には温泉のスパ施設が建っている。
地下の商店街は全て閉鎖され、薄暗い地下街は、一人で歩くと恐怖すら感じる場所になっている。
そんな中で最後のデパートとして頑張っていた「箱根登山ベルジュ」が撤退するとなれば、人の流れが変わり東口側商圏は壊滅的なダメージを受けることになるだろう。
駅ビルのラスカが造られたことで、買い物客は駅から出ることなく用を足すことが出来るようになった。旅行客も電車の乗り換え時間を利用して、駅構内で土産物を調達することが出来るようになり、外に出る必要が無くなった。まして散策したいと思わせる魅力的な街並でもない。
現状を打破しようと行政は、小田原城の整備計画に力を入れているが、人工的に再現された城と、自然を淘汰した堀の復元だけで、継続的な観光客誘致が見込めるとは、個人的には思えない。
最近では小田原駅に隣接する場所に、20億円もの費用をかけ、立体駐車場を建設する計画を打ち上げたが、一体誰が利用すると考えての計画なのか、あらためて悩んでしまう。
小田原に限らず、今、地方都市は過疎化し、経済の発展も見込めていないのが実情だ。
だから近隣の市町村と連携する構想が生まれるのだが、根本的にはそれぞれの地域に魅力が無ければ、複合的に連携しても「魅力の無い場所×何乗」にしかならないことを知るべきである。
本当に魅力ある街づくりを、もっと低い目線で見直し考えなければ、小田原駅前に賑わいを取り戻すことは難しいのかもしれないと思う、残念なニュースです。
天工舎一級建築事務所
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