国交省のHPに、「一級建築士の懲戒処分について」という情報が掲載されていた。
一級建築士の懲戒処分について
処分された理由を読むと、構造計算の偽造という内容が何件かある。
まーだ、そんなことをやっているのか・・・・・・だからダメなんだよと情けなくなる。
少し前には、1級建築士免許を偽造した人もいた。
そういえば私自身、以前、自分の事務所名を騙られた経験がある。
暇で手が開いている時に、某計画案の作成業務を依頼された。
正直、あまり手伝いたくない依頼先だったが仕事も空いていたし、計画建物の内容は面白そうだったから引き受けてしまった。
バタバタと現調した後に施主の要望を聞き、早々に計画案を作図した。
私への依頼者は施主本人ではなく建設会社だったので、建設会社を交えて、施主へ計画案を説明する。計画案のイメージは受け入れられたが、細かい点を2度ほど調整し計画案は確定した。
本来ならばここから実施図面を作成し、認可取得の後に工事となるのだが、私への依頼先である建設会社は「提示された設計報酬額は払えない。なぜならそんな費用は施主から貰っていないから。こちらの言い値で作図するなら引き続き作業は頼むが、そうでないなら下りてくれ」とのこと。
提示された金額は、一桁万円。見積もりして私が提示した金額は、その10倍以上(笑)
何の冗談かと思ったが、どうやら冗談ではないらしい。
そんな仕事やってられるか!と、私はここで作業を下りたのだが、計画案は確定していたので、その認可作業は別の事務所に依頼して、工事着手、完成となったらしい。
事前に設計料支払いの意思を書面にて確認しなかったことと、普段なら絶対に請けない建設会社からの依頼を請けたことが、私の失敗だったと大いに反省し、この作業は終えた。
ところがそれから何ヶ月か経ち、その工事のことなどスッカリ忘れかけた頃に、施主から連絡を受け、お叱りを頂くことになったのだ。
施主が言うには、「設計報酬を支払ったのに、なぜ打ち合わせや、工事監理に来てくれなかったのか?」と。完全に狐に摘まれた状態の私だったが、施主の話を聞き、ことの顛末を理解した。
内容はこうだった。
施主は計画案作成時から、私の提案内容を気に入ってくれており、信頼してくれていた。
それを聞いた建設会社の担当者は、他の設計事務所に頼むことになったとは言い出せず、私の事務所の図面を修正液で消しては書き直すという形で、打ち合わせを続けていたのだ。
つまりうちの事務所の名前や資格、登録番号が記載された図面に上書きして、あたかも私が書いたかのように偽造していたのだ。勿論、CADデータは渡していないので、紙の図面を修正液で消しては書きを繰り返していた。
流石に確認申請に関しては、私の名前を偽造して認可を取ることが出来ないので、別の事務所の名義で取得したらしいが、その確認通知書の原本やコピーを、施主に渡す事は無かったらしい。
(蛇足ながら、確認通知書は施主が申請することが前提。それが出来ないから、建築士に代理者として認可取得を依頼するのだ。その依頼した証拠として委任状を添付するのだが、それらの説明は一切無しに、ただ「三文判を押してくれ」とだけ言われ、何枚かの書類に捺印したそうな。この点に関しては、施主も少し軽率だったようにも思えるが、そこを責めるのは酷だろうな・・・・・・。)
話を戻して、つまり素人の施主にしてみれば、最初から最後まで私が仕事に携わっていたように見えてしまうよう、意図的に誤解させていたのだという。
工事も多少の問題はあるものの、なんとか無事に完成したから良いものの、当事務所の氏名や建築士番号、事務所の登録番号を語り作図をした行為は、立派な犯罪行為。結果的に実害は無かったので事は荒立てなかったが、似たような話しは、知り合いの建築士からも聞いたことがあった。
ハウスメーカーや設計施工を一括で請け負う工務店に仕事を依頼するときに、貴方が手渡されたそのプランは、本当に建築士さんが書いてくれたものかを、確かめた方が良いかもしれないと思う。
嫌な話だか、そんな話しは沢山あるのだから。ただ業界の裏話なので、あまり表に出ないだけで。
稀に、設計料を支払うのが勿体無いからという理由で、設計事務所以外の選択肢を選ばれる方が居ますが、設計者の存在しない建物などありません。そして設計者が存在する限り、設計報酬というものも必ず必要なのです。ただ、支払っている形が違うだけなのです。
真摯に向き合い、「設計報酬が必要です」と言われ、理解して支払う場合と、よく分からない見積書の中の何処かに、見えない文字で「設計報酬」と書かれ、言葉では「そんな費用は必要ありませんよ」と欺かれるのと、どちらが気持ちが良いですか。私は断然先です。予算に限りがあるのなら、そこから交渉することが出来るからです。
人に欺かれることは嫌いです。
でも人を欺くことは、もっと嫌いです。
仕事の話ではなく、生き様の話かもしれませんがね。
天工舎一級建築事務所
神奈川県小田原市荻窪314正和ビルみなみ302
E-mail toshio0223@yahoo.co.jp
コメント
うわー、すごいことが巻き起こるものですね。
探偵長が途中までされた部分の報酬は…ゼロですか?
そしてそのあとを10万円未満の設計料で請け負った事務所とは!?
謎が謎よぶ事件ですね。
余談ですが。
ウチの娘は理数系が好きらしいので、ハハは建築家を猛プッシュしてます。
でも建築って理数系の中でも難しいそうで。まぁ妄想するぶんにはいいですよね。へへへ。
まきまきさん、こんにちは。
書けない話しは沢山ありますよ。
しかもそっちの方が、断然面白い話ばかり!
でも書けませんけどね(笑)
どこの事務所が請け負ったのでしょうね?
ただそんな仕事を請けてしまう側にも、責任の一端はあると思います。
今はそういう時代ですよ~。
私はバリバリの文系でした。
古文とか日本史取ってましたから。
先生に進路を聞かれ、「建築」と答えたら、滅茶苦茶怒られた事を覚えています。
「進路を舐めるな!」ってね。
だから全然大丈夫!
ただ職業として、お薦めかは・・・・・・・フェードアウト