Essay 94 21世紀の住宅像.2

さてさて前回の続きですが、それでは21世紀って一体どんな家になるんでしょうねぇ~?まぁ、私が想像できるのは近い将来だけで、とても50年後は予想できません。それじゃあ、近い将来はどうなるのかと個人的な意見を言えば、ズバリ!「2極化」するのではないかと考えます。


例えば、デジタル技術が急速に発展すれば、当然建物にも取り入れられると思うのです。玄関に鍵なんか無くなっちゃいますよ!家人の音声を登録しておいて、「ただいま」と言えば、声門チェックで鍵が開いたりしそうですよね。そしたら泥棒は入れない!ただし、風邪を引いたら家人も家には入れない。


家の中だって「室温、少し寒い」とか言うと、エアコンが勝手に適温に調整してくれるとか、「消灯」と言うと、全ての電気が消えちゃったりすると便利ですねぇ。


なんだか凄く良さそうですけど、午前様のご主人に腹を立てた奥さんが「主人の声門チェック解除!」とか言うと、もうご主人は家の中には入れなかったりして(怖そう)


当然建物はユニット化され、全て工場で作る箱の組み合わせになりますね。そうじゃないと、そんな高度な技術は現場では作れないですから。


そしたら、街全体がほとんど同じ建物!もう表札も有りません。あるのは記号化された数字だけ。郵便物だって、全て電子化されコンピューターで配信されるんです。なんて言うのは嫌だなあ~。


これはチョット言い過ぎかもしれませんが、これに近い建物が建つでしょうね。その対極に来るのが、自然と共存する住宅でしょうね。それも人工的に作られた自然ではなく、今は誰も住んでいないような過疎地に住宅を建て、仕事だけはインターネットで行う。


「となりのトトロ」のお父さんみたいな感じですかねぇ~。個人的には、こっちの方が好きですけどね。
建物のデザインだって工業的で前衛的な建物と、戦前の農家住宅のような典型的なアナログハウスの、両極端に嗜好が分かれそうな気がします。


大工さんという職業だって「ハウス・エンジニア」とか呼ばれちゃって、全然違う感じの職業になりそうですよね。


ただし、環境は悪化しそうな気がします。大気汚染や森林伐採、水質の汚染や新しい有害物質の誕生と言った「技術革新」に伴う弊害が生まれるのではないでしょうか?人って意外とオバカサンですから、作っているときには「有害物質」に気が付かないんです。で、後から気付いて「こりゃあ、困った」なんてことになるような気がします。


そんな先の話でなく、ここ数年だけに限って言っても「二極化」には変わりないと思います。例えば「住宅メーカー思考」と「反住宅メーカー思考」の二極化。「環境共生住宅派」と「反環境共生派」。


今まで常識として考えられていた建物の作り方から、アナーキーと言われそうな建物の作り方まで登場するのではないかと思います。


「Do It」のショップで住宅のキットを買ってきて、自分達で組み立てて住むと言ったいわゆる「結 ゆい」の復活ですね。(結:とは近所で家を建てるときに、知り合いの人たちや村の衆が皆で協力して作る家の建て方です。今でも地方には有るかな?そうそう!“大草原の小さな家”と言うテレビドラマで、この建て方で家を建てるのを見たことがあります)まぁ、地域とのコミュニケーションが薄くなっている時代ですから、難しいかもしれませんが?


室内の仕上げ材料だって、畳やじゅらく壁を代表とする塗り壁が少なくなるのと同時に、一部のエコロジー住宅を望む人たちには、絶大な評価を得ると言った、完全に嗜好の二極化が予想できそうです。


もっとも、こんな時代になるまで何年掛かるかは解りません。これって、完全に消費者の好みと流行の問題かもしれませんからね。


それから忘れてならないのが、建物に拘わる法律問題の多発化でしょう。欠陥とまでは言わなくても、今までよりも建物にまつわるトラブルが増えてくるような気はします。


あっ!そうだ!ここに書いたのは地球だけの話ですが、当然スペースコロニーだって誕生するでしょうね。つまり、人口増加問題に対処すべく、宇宙移民が誕生するんです。当然、コロニーは「サイド3」とか名付けられちゃって、人型作業ロボットとかも生まれて、されで地球連邦軍と戦う・・・?あれ?話が違う方にズレてる。


とまぁ、好き勝手に書いてますが、本当のところは時代の流れなんて読めないのが本音です。さてさて、天馬博士がアトムを作り出した2003年には、どんな街になっているのでしょうか?楽しみでもあり不安でもある21世紀が始まります。