さて、前回に続きまして「何気ない違反建築」について、ご説明してみたいと思います。この何気ないと言うのが微妙なところで、「違反建築全て悪」とは言っていない揺れる乙女心を(誰がじゃ?)を、お察し下さい。
今回取り上げる「違反物はズバリ!アルミ製のバルコニー」です。以外でしょ?これが違反だと言える点は大きく分けて2つあります。
一つは「防火・準防火地域」に設けられている場合で、前回のカーポートと同様「アルミ製品は防火材料では無い」と言う点。「火事には特に気をつけてね」とワザワザ指定している地域に、どうしてアルミのバルコニーを付けるのでしょうね?アルミも金属だから燃えにくい、あるいは熱が伝わりにくいと考えているのならば、ズバリ!大きな勘違いです。
それって「木と鉄ならば、鉄のほうが燃えにくい」と言う考え方なのでしょうが、正確に言えば鉄の方が熱を伝えやすいんですよ。それも早くに。しかも一旦熱を蓄えてしまったら、なかなか冷めないのは間違いなく鉄を含めた金属なのです。だから「鉄瓶」は重宝されたし、茶釜だって鉄でしょ?
もっとも、こう言う考え方も成り立ちます。つまり、このバルコニーの場合は「建築物に付属している程度の物で、建物本体とは関係ないから良いでしょ~?」と言う理屈。早い話が庭先に置かれた「犬小屋」と同じような物と考えて欲しいなぁ~と言う事だと思われます。
うんうん、そう言われると何となく「そう言うものかなぁ~」と思えるところが不思議ですが、そうは問屋が下ろさんぞ~(爆) 参考写真の場合、アルミ製の柱がバルコニーを支えていますよね。この柱が「違反建築」の動かぬ証拠です。
注)写真は参考で、この物あるいは製作会社を
誹謗中傷するものでは有りません
建築物の定義の中に「柱と屋根を持つ」と言うのが有りますが、これは立派な柱でしょう?おまけに基礎まで付いている。これは立派な建築物の一部です。しかも柱が有るにも係わらず、大抵の場合「建築面積」には参入されていません。これが二つ目の違反です。
もともとはバルコニーの床がスノコ状になっており、「雨水が下に落ちるものだから屋根じゃないですよね?」と言う考え方だったようですが、今は大抵シッカリとした床になっています。でも今までの慣例と言うか習慣みたいなもので「建築面積不参入」と言う約束みたいになっているのだと考えられます。
それが証拠に、私が知っている行政庁では「せめて準防火地域では、柱が無い奴にしてくれないかな」と、役所の人間に頼まれた事があるぐらいですからねぇ~。役所の人も辛いところなのでしょうねぇ。
「欠陥住宅」の問題を話していると、「建築基準法は建物の最低基準を決める法律なのに・・・」と言うニュアンスを感じる時があります。でも、その「最低基準さえ守られていない建物は、あっちこっちに建ってますよね?」とは言えません・・・なんせ内気ですから。
ただし「違反建築物=全て欠陥住宅」みたいな風潮があるのには少々疑問を感じます。違反建築物の中には、「まぁいいか?」と笑って許せるものも多数有り、多くの人がそれを許容しているにも係わらず、「欠陥住宅」と言う言葉で一括りにしている感が否めません。
「欠陥住宅」と言う言葉の定義自体が曖昧ですから仕方の無い事かもしれませんが、「違反建築物」とは間違いなく違う物だと言う事だけは覚えておいて頂きたいと思うのは、建設関係者としての私の言い訳かもしれませんがね。