Essay 128 チェックリストを分析(1)

先日、新聞広告に<住まいの快適チェック>なるものを見つけました。フジサ○ケ○企画が作ったものなので住宅メーカーの営業広告らしいのですが、なかなか面白かったです。


チェック項目は全部で20個。そのうち「10個以上に該当したら要注意」で、「4つ以上なら潜在的な不満を大きくしない注意が必要」とか、細かく診断まで付いています。まぁ、どっちにしても「家、建て替えませんか?」と言うことなんですけどね。

私、思わずニヤニヤしていたに違い有りません。まさに「おもちゃを見つけた子猫状態!」。と言う事で、早速そのチェックリストを検証してしまいます。



□築15年以上である
ふむふむ、メーカーと言うのは築15年を建て替えの目安にしているのか。ちょっと早くないかい?


□日当たりや風通しが悪い
そりゃ~嫌だわなぁ~。これ建てたばかりでも嫌だしなぁ~。


□隣家、道路からのプライバシーが確保しがたい
上手い!何が上手いってこの書き方、抜群。「プライバシーが確保しがたい」と言うのは「確保できない」とは微妙に違う事にお気づきか?まず「確保したい」と言うことの意思を確認した上で、「確保するのがチョッと大変なのよね~」と言う人までチェック出来るようになっている。「確保できない」って書いたら、そんな家の方が少ない。つまり「今だってプライバシーは確保できているけど、少しぐらいは不満も有るわ!」と言う人まで対象になると言う事。(ほとんど全員でしょ?) これを考えたのは叙述ミステリーの愛好者か?


□間取りを変えたい
家と同じように家族も年をとる。当然、家への要求が変わってくる。つまり間取りは変えたくもなりますよね~。これもチェックと・・・。


□近々家族の人数が変わる予定がある
これ一番笑いました。まさか家族の人数が、減る事を対象にしてないだろうな~って。当然、増える事を対象に考えますよね?出産や結婚、嫁ぎ先から戻ってくる娘となれば、当然部屋を増やすか広げるかという潜在的ニーズを、ユサユサ揺すってますよね~。素晴らしいとしか言いようが無い!


□バリアフリーにしたい
エリマキトカゲ・たまごっち・ポケモン・・・と一緒にしたら怒られそうですが、「バリアフリー」と言う言葉自体が「流行語」。ひょっとすると水戸黄門の印籠のように、何を言っても「バリアフリーの為ですから」と言えば事が済むと思っているのでは?でもチェックはするだろうなぁ・・・(負け)


□防火、耐震対策が心配
これも上手いなぁ~。何が上手いって「耐震対策」単独で書かないところが上手い。つまり「防火」はフェイクで、チェックを入れさせたいのは「耐震」のキーワードでしょう。阪神・淡路以降、次は小田原と言われ続けたこの地域で、家を考える時に「耐震性」を気にしない人はいませんからねぇ。当然、これもチェック。


□外壁に亀裂や錆びがある
築15年にチェックが入った人は、これもチェックかもしれませんねぇ?。モルタルの上に吹き付け仕上げの外壁の場合、ヘアークラック程度の物なら入ってしまう事は良くあると思います。(ヘアークラックと言うのは字の如く、髪の毛の太さぐらいのヒビの事) サイディングの外壁だと解りませんしね・・・。でも錆って何でしょう?今時、外壁にトタンを張っている家など見た事無いし・・・金物の錆の事かなぁ?


□天井の壁に染みやカビが発生している
これは有ったらマズイぞ~。的を得てる!間違い無く雨漏りの印ですからね。ただし【天井の壁」って、意味が判らん(笑)正しくは【天井付近の壁】なんだろうと思いますが、これも叙述ミステリー作家の何かの伏線なのか?(揚げ足取ってゴメンナサイ)


□建具の開閉がスムーズでない
うんうん、これも王道の質問かもしれない。ただし室内の木製建具は年月の経過で反ったり、歪んだりはするもんです。扉を支える丁番だって狂いも生じる。窓のアルミサッシュや網戸でさえ、調整や修理が必要にもなります。だから「建具の不具合=家の建て替え」には直結しない事もある。その点に盲点もあると言う事。やっぱり、この質問を考えた人物は只者ではないなぁ~。


どうですか?10個見た段階で、一体いくつのチェックが付きましたか?この文章をお読み頂いている方の平均年齢は、そんなに高くないと思いますので、持ち家の方でも「築15年」は経っていないと思います。従ってチェックが付いた数は、精々4,5個じゃないでしょうか?


でも、これが一般誌に書いてあったら全然違うと思います。私が思うところに、このチェックリストは50代以降の方を対象に書かれているような気がします。「家族が増える可能性の有る所帯」と言うのは、二世代同居の方を対象にしているのでしょう。当然家は築15年は経ってますよねぇ~。


実に上手い・・・失礼。実に的確なチェックリストだと思います。建て替えたい人を掘り起こす。長くなるので、この続きはまた今度。(もう書いて有りますので来週にUPします)
さて貴方は一体、いくつチェックが入るのでしょう?