まるまる7年の歳月が過ぎ去った阪神淡路大震災。この時間を「もう7年経った」と言うべきか「まだ7年」と言うべきなのかは私には解りません。尊い命や財産を無くし、人生の転機になってしまった被災者の方には、何年時が過ぎようとも忘れられない出来事なのだと思うから。
そんな震災をきっかけに、全国各地の都道府県、あるいは市町村レベルで設置され始めた物の一つに、『応急危険度判定士』と言う制度があります。これは震災直後に、広域避難場所に指定されている学校や、病院と言った施設に『どの程度の損傷があり、その建物内に避難していても安全か?』を客観的に判断すると言う人たちの事です。
例えば地震発生直後、避難場所に指定されている小学校に行ったとしましょう。昼の晴天時なら兎も角、深夜に雨でも降っていたら、学校の体育館に入りたくなるのは人情。ところが、その体育館の骨組みが地震の第一波で危険な状態になっているかもしれません。ひょっとしたら余震の発生で、二次災害を生み出す危険性をはらんでいるかもしれないでしょ?
その安全性を逸早くチェックする人たちが「応急危険度判定士」と呼ばれる人たちなのです。勿論、民間人ですから「使っちゃダメ!」なんて言う権限は有りません。ただ安全か否かを確認し、防災拠点である行政にその結論を連絡するだけが仕事です。
この応急危険度判定士と呼ばれる人たちは、神奈川県内だけで凡そ9,604名(民間判定士:8,916名、行政職員判定士:688名)が登録・認定されており、その内小田原市に居住する判定士は257名だそうです。で、私もその一人。
定期的に、この判定士の会議が行なわれます。連絡網の確認や、実際の時の召集に関する話し合い、勉強会などに関しての話し合いなのですが、実に・・・・・・言い難いなぁ~。まぁ、のんびりしていると言うか、所詮他人事と言うか、お粗末な面々と言うか・・・。
まず悩んでしまうのが、いざ地震が発生した時に、どうやって招集を掛けるかと言う点なのですが『電話連絡だったり、メールで伝える』と言った、まるで現実に則してない方法。電話が通じて、のんびりPCを立ち上げられる余裕が有るなら、地震の被害なんか無いっちゅうの!そんなレベルだったら、「何も問題が無い」と言うことを、行政が自分たちで確認しろっちゅうの!
また本当に大きな地震で、(ちなみに阪神淡路はマグネチュード7.2の直下型)のきなみ家屋が倒壊し、電話も電気も切れ、あちこちで火災が発生しているような大震災だったら、誰しもが一度は広域避難場所に行くと思うんです。情報の収拾や事体の把握、あるいは食料や水の確保の為かもしれません。
ここまでは良いですよね?こんな事になるかも?と言う程度の事は予想が立ちますよね?これだけの状況になっていたら、ほとんどの人はパニック寸前です。なんせ阪神淡路の「あの光景」を実体験しているのですから。
ところが会議に出席している応急危険度判定士さんは、実にユニークな事を言ってます。例えば「自治会で役をやっているから、そんな事はやってられんなぁ~」とか「地域の消防団に入っているので、大地震が来たら消火活動に行ってると思う」なんてご意見。
なかでも笑いを噛み殺したのは「女房・子供が家の下敷きになってるかもしれないのに、それでも来るのか?」と真顔で言うオジサン。(ホントは地元の古株の設計屋さんらしい)
何処の世界に自分の身内が、家の下敷きになっているのを放り出してボランティアしに来る奴がいる?そんな奴が居たら見てみたい、って言うか、そいつの言う事事体を信用できん。
こんな事しか言えん建築家大先生様が「貴方の家はですねぇ~」とやっているのかと思うと、地震よりよっぽど怖いわい!
消防で活躍する場が有るのなら抜けたら?自治会でやる事が有るのなら、そっちを優先しなさいよ。行政は行政なりに、解らないながら「いざ」の時の為にシュミレーションしているんじゃない~。本当に大地震が来た時に、どうすれば一番効率よく事に当たれるかを考えているんですから、その時に動ける自信がない奴は要らんのでは?
だいたい、そんな事を言い出したら「自分が下敷き」かも知れないじゃないですか~、違う???行政も、「メールで連絡する」なんてトロイ事を言ってられる程度の地震なら、自分でやれっちゅうの!
何も講習を受けていなくても、例え応急危険度判定士の資格なんぞ持っていなくても、その時が来たら機敏に対応する奴はするし、しない奴は全くしないと思うから。それで良いんじゃない?いろんな人がいるんですよ。
阪神淡路の時だって、人の為に頑張った人は沢山居る。誰に言われなくても「自分が出来る事」を自分なりにこなした人たちがね。それを踏まえて「応急危険度判定士」に手を上げたんじゃないの?それとも、この資格でも取れば仕事になるとでも思ったのでしょうか?(言い過ぎなら失礼)
ダルイ会議に時間を割かないで欲しいなぁ~。私、真面目だから「集まれ!」って言われると行っちゃうのよねぇ~、ダルイ会議だと解っているのに・・・。で、帰るときに「やっぱり来なきゃ良かった」と思うわけだ。自分も悪いんだけど、なんか消化不良起すような会議は辞めにしませんか?
誤解の無いようにお断りしておきますが、大多数の応急危険度判定士さんは、「いざ」の時には活躍されると思います。判定訓練や、それなりの講習も受けていますからね。