Diary 2001年8月9日

「またかよ!」と思うような事件が北海道で起きた。留守番をしていた5歳と2歳の子供が、泥棒に包丁で刺し殺され、6歳の子が怪我をすると言う事件だ。なんで子供を簡単に刺してしまうのだろう?その思考が全然理解できない。これってまた犯人の精神鑑定で「責任能力無し」なんて判決になるんじゃないかと思うと、無性に腹が立つ。いっそのこと江戸時代のよう「仇討ち」を認めたら如何なものかとさえ真剣に思ってしまう。

この事件の報道を聞きながら、ふと考えた。ポスターが飛ぶように売れると言う異常人気の小泉総理だが、彼の唱える「聖域無き構造改革」・「国民に痛みを強いる変革」と言うのは、こう言う事件さえも助長する危険性は無いのかと?

一時的にであれ今よりもさらに景気が落ち込み、雇用や求人が減りリストラも進んでいくだろう。個人の収入も減れば、犯罪への誘発因子にも成る。そこまで考えての事だろうなぁ!アメリカでブラックマンデーが起こった年に、犯罪発生件数が増えたと言う事実を、当然承知した上での話なんだろうなぁ?

国民に痛みを強いるのは構わない。それが国の経済を根本から立て直すという明確なビジョンと、その後のシュミレーションが完璧に成されていた上での話ならば。でも景気が冷え込む期間は?どのくらいの影響があるのかと言う明確な数字は何も提示されない。しかも、何をやろうとしているのかさえ正しく伝えようとはされない。今の状況だと「それって単なる思い付きじゃないの?」とさえ思えてしまう。

これだけ「小さな命」を犠牲にする残忍な事件が起こっている中、一国の総理がその辺りまで配慮する事は、当たり前の義務だと思っているのは、私の期待しすぎなのだろうか?
★☆★ 今日みたいにバタバタした一日だと、「もう一人自分が居てくれれば助かるのになぁ~」と思ってしまう。もっとも、これは現実には有り得ない夢の話だから、そう思うのであって、本当に「もう一人の自分」を作ることを前提に考えている訳では無い(当たり前か?) 

ところがアメリカの科学者のグループが「人間のクローンを作る」と正式に発表したと言うから驚いた。「牛や猿の実験で成功したから人間でも成功する」と、鼻息も荒く記者会見したらしい。何時かはこんな日が来るだろうとは思ったが、実際にそのコメントを聞いて、やっぱりと言う驚きと同時に、諦めにも似た気持ちを感じた。奴らは完全に壊れている・・・・・。

科学者と言うのは、どうして自然に勝ち、神を越えようとするのだろう? 確かに始めは「不幸な人を助ける為」と言う「善の思想」からスタートするだろう。ダイナマイト然り、原爆、水爆だって始めは「善の思想」から造られたものだ。それが今はどうだ? 必ず人間の思想と言うのは、何処かで歪んでしまう物だということを忘れている。地球上のたった一人の「悪の思想」が、全てを台無しにすることがある。

手塚修虫氏が「火の鳥」の中で書いている。禁断のクローン人間を作りたいと願った男が、事も有ろうに自分のクローンを作ってしまうことになる。しかも、そのクローン人間の使い道は「人間狩り」と言うテレビ番組用の獲物だったのだ。そして男は、自分がマスターだと言う事を認めて貰えず、銃を向けられ逃げ惑う事になる。そして、その時にようやく悟る・・・・・「愚かな事をしたと」。

50年後、100年後の未来に、彼らが同じ後悔をしない事だけを祈りたい・・・。