『何者』を、読みたくて購入。
物語は、鎌倉にある陸軍少将の邸宅内で、一発の銃声が鳴り響くところから始まります。銃声がした書斎に飛び込むと、室内には足を撃たれた少将の息子が倒れている。室内は荒らされ、賊は窓から逃走したらしい。窓の下に残った足跡をたどると、古井戸の前でぷっつりと消えていた。犯人は一体どこへ消えたのか?被害者の父である少将や許嫁、あるいは屋敷に勤める老僕も怪しい匂いがプンプンする。偶然、屋敷に逗留していた赤井と名乗る探偵かぶれの青年が謎に迫るのだが――
エロもグロも無い本格物で、この時代の乱歩らしからぬ中編作品。『一寸法師』より、こちらの方が好き。乱歩は今でも、普通に通用するところが凄いですね。