芸術文化創造センターの迷走 その後

老朽化した小田原市民会館を建て直す計画は、前小沢市長の時に立案した際には「市民ホール建設計画」と名付けられ、現在の加藤市長が立案した際には「小田原市芸術文化創造センター建設計画」と名付けられた。そのどちらにも長い年月と莫大な費用がつぎ込まれ、計画地周辺に住む人や周辺道路を利用していた人たちが犠牲になりながらも、形を成すことは無いようだ。過去にこの事業につぎ込まれ、泡と消えた税金は約5億円。それぞれの設計作業費用や、計画地周辺の用地買収や道路整備費用がそれだ。

2計画見直し5億が無駄に

今後、計画を一から見直し、また新たに考えると言う話も出ているらしい。老朽化した市民会館は、新しい建物を建て直すまで、安全に利用できるように耐震補強工事などを施すとの話もある。その費用は約21億円で、使用する期間は約10年だという。

頭が悪いので計算が出来ないのだが、10年しか使わない建物に21億円をつぎ込むのなら、その費用を今回折り合いの付かなかった見積りの不足分20億円に、振り替えたらダメなのだろうか? それともこれから新たに計画し直す建物は、今回予定した70億円と言う予算ではなく50億円の費用とし、浮かせた20億円で既存の市民会館を耐震補強するのだろうか? 市民には分からないことばかりで凄く不思議だ。

東京五輪や豊洲の卸売市場移転計画とは規模も内容も違うが、一つだけ同じなのは、市民・都民は蚊帳の外に置かれていることだと思う。公務員にとって徴収した税金とは、きっとお金ではないのだろう。だからどんな無駄な事にも使えるし、どぶに捨てても心が痛まないのだろう。

だが形を成さなかったものに支払われた税金は、市民が日々の生活の中から支払った物で、無駄に捨ててしまうと分かっていれば、晩御飯にもう一品増やした方がマシだと思えてしまう。その方が明日、働く力になるし、子供の成長の役にも立つ。何処の世界に、「5億円ほど無駄にしました」と聞かされて、「ドンマイドンマイ!明日も頑張ろう!」と、テンション上げる市民が居る? そんな奇特な人など居ないのですよ、それがわからないのだろうか公務員の方には。

「今回ボツになった設計図書は、今後使えるところは使って」と、市長は言うが、使えるところってどこですか? 私も設計の仕事をしているが、過去にボツになったプランを、別の家の設計の際に「これ、過去にボツになったプランですが、勿体ないので使えるところは使ってみました」なんて提案をしたことは一度も無いし、それで「まぁ素敵!」なんて反応が帰って来るとも思えない。

雨の週末、明日は早朝から地域の緊急避難訓練がある。町内に暮らす人たちの家々を一軒ずつ回り、「怪我はありませんか、全員無事ですか?」と、点呼を取って回るところから訓練が始まる。地域防災は大切な事だが、5億もあれば、もっと凄い地域防災に活用できそうな気がするのだが、さて……。