『財政が危機的状況にある』と宣言した、静岡県熱海市。
心配になって熱海市のHPから、収支計画やら、タウンミーティングの議事録やらを探して目を通してみた。
一言では言い表せないが、総じて市長の考え方には理解が出来た。
現時点で黒字なのに、危機的宣言を出すことで、観光地熱海のブランドに傷が付くと言う観光関連の業者の言い分。
それとは関係なく、高齢化が進む市民の不安。
それら全てをひっくるめて、中・長期的な解決策を模索する市長。
大事なのは、「個」を見るか、「公」を見るか。
作戦や戦術は、人それぞれ。間違うこともあれば、異を唱える人も居るだろう。でも、それでも「個」より「公」を守ろうとする姿勢や視点があるのなら、それこそが市政。
地方の財政問題は、夕張や熱海だけの問題ではないのよねぇ・・・・・。
★密室の鍵貸します/東川篤哉(ひがしがわとくや)著 読了
戸村流平は、先輩の茂呂耕作の部屋で酒を飲みながら、先輩自慢のオーディオ・ルームでビデオ鑑賞を楽しんでいた。シャワーを浴びてくると、浴室に立った茂呂だったが、いくら待っても戻っては来ない。不審に思った流平が浴室を覗くと、服を着たままの姿で、腹を刺されて死んでいる茂呂の死体を見つける。玄関には鍵もチェーンも掛けられ、室内の全ての窓には鍵が掛かっている、完全な密室。
と言うことは・・・・・・「エッ?犯人 オレ?」 動揺した流平は、事もあろうに現場から逃亡してしまう。さらに悪いことに、茂呂が殺された同じころ、目と鼻の先の場所で、自分を振った元カノの紺野由紀までもが刺殺される事件が起こっていたのだった。
二つの殺人事件で絶体絶命のピンチに陥った流平は、元・義理の兄である探偵の鵜飼杜夫に助けを求める。ユーモアを交えているが、本格ミステリー。
この作家、初めて読みましたが侮れません。
本格物を本格物として書くことは、ある意味で簡単なことですが、そこにウィットを織り交ぜてユーモラスな展開にしながら、その実「本格中の本格」として仕上げることは、とても大変なこと。それを上手に仕上げられており、凄いと思います。
ただし、好き嫌いがハッキリ分かれる作品かもしれませんね。
例えて言えば、「1stガンダムに惚れ込んだ人は、ガンダムseedは愛せない事に似ている」と言う感じでしょうか。
もしくは・・・「ジャングル大帝レオを愛した人は、ライオンキングを認めない」に、似ているのかもしれません。
それか、「遊星仮面に涙した人は!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、いいですか?」 (一人上手)
とにかく、本格作品でした(笑)
ただし個人的には、本格物には“どろどろ感”が欲しいので、そう言う意味では、ちょっと軽かったのが残念。
でも、他の作品も読みたいと思わせる一冊でした。