「坂道の家」は仕上げ工事を終え、造作家具の取り付けが行われている。
「造作家具ってなんですか?」と、聞かれたことがあるが、簡単に言えば現場で作る造り付け家具のことで、「備え付け家具」と呼ぶこともある。住む方の生活や必要量に合わせて作ることが出来、家の雰囲気に合った家具を設置することが出来る。
以前、「地震が怖いので、家具は市販の家具を置きます。その方が部屋の模様替えにも便利だし」と、言われたことがあるが、これは間違い。家と一体になった家具は、転倒等の恐れも無いため、ある意味では耐震性向上に一役買っているとも言える。また部屋の模様替えと言うが、それほど小まめに模様替えをすることは無いので、これは杞憂。仮に模様替えをするにしても、クローゼットなどの位置が決まっているからと言って、それが大きな障害になるとは言えない。つまり造り付け家具を避ける理由としては、どれも弱い。強いて避ける理由を上げるとすれば、たぶん値段だろう。
造り方、仕様、素材等の条件にも拠るが、街の安売り家具屋さんで購入した方が安価なことは間違いない。だから「予算的にきつくて」と、言われれば納得する。と同時に、設計の際にあれだけ拘った間取りや仕上げ材の色やデザインなのに、「カーテンは別に買いますから」と本体工事から切り離して、後でワゴン・セールで買ってきたようなペラペラなカーテンを吊り下げられいるのを見ると、それはそれでガッカリすることも確か。つまり照明器具は勿論だが、家具もカーテンも家の一部であり、それらも併せて一つのコーディネートだということ。家は全体で考えるものなのです。
とは言え、予算はやっぱり重要ですけどね。