計画案に吹き抜けを設けることがある。吹き抜けを設けようと考える理由は様々で、1、2階の繋がりや風や光の抜け、家族の気配を感じるために設けようとすることもある。また計画地周囲が高い建物に囲まれているような場合には、吹き抜けの高い位置に設けた窓からの光を、家の明るさの要とすることもある。
結構使えるガジェットなのだが、依頼者によっては「吹き抜けは要らない」と、一刀両断されることもある。その理由は、ほとんどの場合が「熱効率の低下への懸念」。簡単に言えば、エアコンの効きが悪くなるから要らないと言うもの。夏は暑く、冬は寒くなるに違いない——だから要らない。
たしかにそんな側面があることは否定しない。冬の暖房時には暖気は上に上がり、1階の足元は寒いかもしれない。また夏場の冷房時には、冷気は下に溜まるから良いが、吹き抜け上部からの直射日光が室温を上げるから嫌だ――と、言う理屈らしい。
でも吹き抜けがある空間の開放感は、結構良いと思うよ~。ひょっとしたら、一度住めば意外と気に入るかもしれないと思うのだが、なんせ吹き抜けのある家に暮らした経験値が無いのだから、それを言葉で説得するのは難しい。以前は彼是と説得したりもしていたが、最近は説得しないで直ぐに案を再考することにしている。嫌いな食べ物なら「一度、騙されたと思って食べてみて」で済む話だが、家の場合は「一度、騙されたと思って建ててみよう」とは言えないからね。
私の場合は、自分が考えて良いと思った物を提案している。だから私を信じて、あるいは計画案作成を依頼した設計者を信じての依頼ならば、結果的に嫌なものは嫌で良いのだが、頭から否定することは止めて、一度話を聞いてみてはどうだろうか。その設計者の考え方や過去の事例や、現時点での話し合いを経て、「計画案の作成をお願いします」と、なっているのだろうから、提案された物を全否定するのでは意味が無い——と、思うのですよ。最近の、ある出来ごとを踏まえた上での話。
ちなみに写真の吹き抜けは、現在工事中の家の吹き抜け写真です。