午前中は計画中の住宅の御打合せ。計画案は気に入っていただけたものの、ご予算的には、もう一工夫して減額が必要な状況。一般的に言って、計画案を練っている段階で減額を考える場合に、大切な事は「イメージに固執しないこと」だと思っている。イメージとは建物の大きさや外観、素材や色と言ったすべての事柄に関しての話。
例えばクライアントが持つイメージとは、大抵の場合、設計者がプレゼンの中で「こんな感じは如何ですか」と、話した物がほとんど。その印象が良く、計画案がぴったりと嵌まった物であればあるほど、その印象が強く残ってしまい、変化させることに戸惑いを覚えてしまう。ところが設計者は、一つの素材や間取りを変化させても、他の関連した物を一緒に変化させるイメージを、柔軟に考えることが出来る。ここにクライアントが、付いていけなくなってしまうことがある。だから予算を含めて、何かの原因で計画案を変化させようとすると、そこに抵抗感を覚えてしまうのだ。
だが減額案を考えるときには、知恵と工夫と妥協と気合とノリが大事なのです。計画案の段階で一つのイメージに捉われてしまうと、そこから先の変化に対応できなくってしまう。例えば玄関までのアプローチが長くなると、タイルを張るにしても、かなり高額な物になる。そこでタイルを安価な品に変えようと考えるのだが、「タイルと言う素材を使う」ことに固執すると、減額に限界が生じてしまう。だからタイルを止めてコンクリート仕上げにすると言った具合に、柔軟な考え方の変更が必要になる。その場合、「舗装したいと考えた理由は何だったか?」に立ち返り、その上で納得する材料や方法に変更すれば良い。
写真のアプローチは、枕木を飛び石のように配置し、芝を敷き詰めたアプローチ。この建物の場合、枕木を敷き並べたアプローチだけでも10m以上の長さがあるので、全てをタイル貼りにしたら、かなりの値段になってしまう。そこでこんな形になっているのです。
こういう話をすると、「枕木は腐るから嫌い」と言う方が居るが、枕木と言う材料が絶対に良いと言っているのではなく、「そんな柔軟な考え方をしませんか」という話をしているので、「枕木サイコー」と、言っているわけでは無い。そこのところを、お間違えなく。
限りある予算で、あれもこれも欲しいし適えたいと考えるのは人情、凄く良くわかります。でも叶わないこともあることも理解し、その時にどうするかを、冷静に考えていくことが大切です。楽しい作業は、これからです。