政府から7都府県に対して、緊急事態宣言が発令されましたね。経験したことの無い状況に直面していることを、あらためて実感しました。また生活必需品以外の複数の店舗・施設に関して自粛要請が出され、用の無い外出は昼夜問わず自粛することも、お願いとして話されていました。そんな状況の中、今現在家を建てている最中の人や、これから家を建てようと考えている人にとっての心配は、「建設工事は止まらないの? 工事はこのまま進めてて良いの?」と、言う事だと思います。
まずは法律的な話としてですが、工事中の現場に対する作業の中止を要請できる法律は、今現在は無いと思います。また昨日発令された緊急事態宣言においても、工事現場の作業を中止する要請も要望も含まれてはいません。ですからその意味においては、いま工事が止まることは無いでしょう。勿論、これから着工する現場を中止させる要請も出ていません。ただしこれから先どうなるかは、誰にも予想できません。
例えば元請の建設会社が感染拡大を恐れて、発注者に工事の中断を申し入れることも考えられます。元請建設会社には、各職方が協力会社として作業にあたっています。一般的には下請けと呼ばれますが、ペンキ工事はペンキ屋さん、大工工事は大工さんと言った具合に、それぞれの専門会社に作業を依頼しており、それぞれが協力して一つの建物を建てているのです。この時、仮に電気屋さんがコロナに感染したとすると、その電気屋さんは工事を続けることが出来なくなりますよね。その場合、他の電気工事会社に依頼して続きの作業して貰うことになるのですが、他社が遣り掛けた工事を引き継ぐことは簡単ではありません。
また一軒の工事現場内で感染者が出た場合、その工事現場に携わった人すべてが、濃厚接触者と見なされる可能性もあります。当然、工事中の建物すべてを消毒し、濃厚接触者に該当する人たちは、一定の期間、作業が出来なくなる筈です。そうなると工事は、一時中断せざるを得ませんよね。
それから各種建設資材はメーカーから問屋へと仕入され、そこから各業者さんが入手して、工事現場に持ち込まれます。この時、何処か一つの会社に感染者が出たら、そこで建材の流れが止まってしまうことになります。他の会社から仕入れると言う方法もありますが、感染者が出た会社と直前まで取引していたという事実はあるのですから、その部分に注目すれば仕入れる側も濃厚接触者と判断されかねないと思います。
つまり可能性とすれば、何事も有り得るということです。「自分だけは大丈夫、自分の家の工事現場だけは大丈夫」なんて都合の良い話は無しですよ―――ということ。別に脅かすつもりではありませんが、万一のことは想定しておく必要があり、それが余裕と言うものだと思います。融資を受けている金融機関との事前の確認も必要だと思いますし、工事の依頼先への確認だって重要です。今は非常時だということを認識しうえで、冷静に慎重に対処するように心掛けて下さい。
また発注者である方が、感染者となり得る可能性だってゼロではありません。自分のために、大切な誰かのために、なんて言っても伝わらない方には、明日も旨い酒を飲んで、美味しい食事を食べるために、今日、頑張りましょう!ということです。オタクの世界では「押しは、推せる時に推せ!」という言葉があるそうですが、「健康は、健康な時に守れ!」って事だと思います。御自愛下さい。