家を建てたい方が、今できること

「ステイホーム週間」と変な呼び名が付けられてしまった今年のゴールデンウィークですが、新型コロナウィルスの感染を抑え込むための措置なので仕方ないと思っています。今年は家にジッと閉じこもる事こそ、誰よりも称賛される行為なのです。

例年ならばGWはハウスメーカーやビルダーが、オープンハウスや相談会と言ったイベントを大々的に催し、家を建てたい方を積極的に呼び込む大切な時期でした。今年後半の売り上げを、ここで稼ぎたいと思っているかのような勢いで誘客し、家を建てたいと考えている方たちも、そんなお祭りムードに流されるかのように住宅展示場を歩き回る時期だったのです。ですが今年は、そんな行動は慎まなければなりません。それは家を売る側にとっても、買う側にとっても大きな損失だと言えます。

と、言うのは大きな間違いで、今年は家を建てたいと考えている人にとっては、とんでもなく絶好のチャンス年だと思っています。なぜか?理由は簡単、今年は気分やノリやムードに流されることなく、冷静に努めて冷静に家を建てることを考える時間を持つことが出来るからです。

一般的に言って「そろそろ家でも買おうかな」と考えた方が、一番最初にすることは住宅展示場に行く事だと思います。お目当てのHMがある場合なら、その会社のHPを閲覧することかもしれません。また「今、〇〇工法が流行の最先端」とか「断熱材は◇◇材がサイコー」みたいな文句に踊らされた人は、工法や材料あるいは会社の名前だけを調べることに専念してしまい、自分でも知らないうちに、自分で調べたことが一番優れていると思い込んてしまいます。結果、それ以外の選択肢を調べる事を止め、場合に拠っては自分の気に入ったもの以外を、すべて否定してしまう事さえあります。こうなったらもうダメです。軽い洗脳状態ですから、もう誰にも解くことが出来ません。それが本当に正しい答えならば良いですが、たいていの場合、そうでも無かったりします。

そこで自宅に居ることを要請されている今年は、ネットで彼是と調べてみることをお薦めします。それもハウスメーカーのHPや材料を調べるのではなく、「家を建てると言うことはどういうことなのか」と言った、建築主だからこそ考えなければいけない、これからの夢や理想のことを調べてみて下さい。

その一番手っ取り早いのは、建築家のHPを眺めてみることです。個々の建築家を調べることが面倒な場合には、国内外の建築情報をまとめたコミュニティサイトや建築家とのマッチングサイト、その他にも建築関連のポータルサイトが多数あります。そこで計画地周辺で活躍する建築家や、御自宅の近くにある設計事務所などを調べ、その建築家が過去に建てた建物の写真を眺めたり、その建築家がどんな考え方をしているのかを知ることから初めてみましょう。

家を建てたいと思い付いた時、たいていの方はHMの名を思い浮かべ、そこを入口にして家造りを始めるのかもしれません。ですがその場合、どうしても自分が予想していたゴールにしか、辿り着くことが出来なくなってしまいます。なぜならそれこそが正解だと、無意識のうちにイメージしてしまっているからです。

本当に自分たちにとって正しい家を建てたいと考えるならば、一番最初は「家を考える専門家」と話をするべきなのです。けして家を売るための営業マンでも無ければ、土地を紹介するための不動産会社でもありません。最初の一歩を間違えてしまうと、きっとゴールまで間違えたままの道を辿ることになってしまいます。

このゴールデンウィークはチャンスなのです。家とは何かを考え、自分と自分たち家族のために、どんな家を建てることが正しいのかを一緒に考えてくれる専門家を、探すことの出来る時間があるからです。今はメールや電話だけでなく、コロナ対策の一環としてオンライン会議の対応を取ってくれる建築家も増えています。じっくりと探し、話を聞いてみたい、自分たちの家は何かを知りたいと思った方に、積極的に問い合わせてみましょう。

こんな状況ですから直ぐに工事に、取り掛ることが出来ないかもしれません。でもそれで良いのです。ジックリと建築家と話し合い、時間を掛けて練り上げていく設計の時間を、潤沢に確保することが出来るからです。今は外出できない時間だと嘆くのではなく、家造りのパートナーを時間を掛けて見付けるための大切な時間だと考えてみては如何でしょうか。それが今、家造りを考えている方に出来ることだと思っています。