法定福利費に関して国交省に質問してみました

以前から悩んでいた建築業界における「法定福利費」の考え方に関して、国土交通省の担当所管にメールで質問させていただきました。質問した内容としては、住宅建設工事において元請建設会社が施主に提出する見積書に「法定福利費」項目の計上の仕方、あるいはその是非や計算基準に関してです。

建設業界における一次下請け・二次下請け等の会社が元請建設会社に提出する見積書に計上する法定福利費のことや、公共事業における法定福利費の扱い方、あるいは民間事業においても大規模な建設工事などは除いた、あくまでも個人が建てる一般的な住宅建設工事だけを対象として質問しました。後日、国交省の担当者からご丁寧にも電話をいただき、約40分に渡りご説明を伺いました。結論から言えば、私が認識していることは、概ね間違っていないようでした。簡潔に箇条書きにしてみます。

・住宅工事において元請建設会社が施主に提出する見積書に法定福利費を計上することは問題無い

・上記を記載した場合で諸経費の項目が計上されている場合には(法定福利費は除く)と明示する

・工事内容や金額、下請け会社の規模や必要な職種の数によっても異なるので都度計算して計上する

・建築主が法定福利費の内訳を希望した際には、明確な積算根拠となるバックデータを提出する

・計算根拠は職方の経験年数・年齢・会社の規模等を前提とした国交省の指定する数値で計算する

簡単に書けば、以上のような内容でした。まとめると法定福利費と言う項目を計上することで、下請け会社の福利厚生を担保しているのであれば、そこは正しいのでOKです。ただし以前ならば諸経費内で計上されていた物なので、二重請求とならないように諸経費からは正しく削除されていることとが前提です。また工事の規模内容に拠って法定福利費は変わる物なので、「一律〇〇%」と言うような根拠のない金額の計上は認められません。施主が法定福利費の内訳を知りたいと希望した際には、根拠となるバックデータを提示する義務があるとのことでした。国交省の方には、凄く丁寧に御説明していただき感謝しております。その結果、取り扱い方が現時点ではグレーだと言う事も理解できました。

なぜ私が法定福利費に拘っているのかと言うと、住宅のような建物の場合には50万円、100万円の見積もり金額の差が、建物計画自体を頓挫させる可能性があるからです。例えば3000万円の住宅の場合、法定福利費を工事金額の4%で計上しますと言われたら120万円になります。消費税は外税なのでさらに12万円、合計で142万円が法定福利費となるわけです。ですが諸経費内で同額の金額が計上されていたとしたらどうでしょう? そしてその根拠が不明確だったとしたら。

建物を設計し、御見積もりを依頼し、予定金額からオーバーすることは往々にして起こり得ます。その際に減額案に頭を捻るわけですが、法定福利費は減額してはいけないという決まりがあるため、それ以外の所で考えなければなりません。まぁそんなことで、少し気になっていたのです。今後、法定福利費を計上した御見積書を、見る機会も増えていくのかもしれませんが、その都度、適切に対応したいと思いました。国交省の御担当者様、わざわざお電話でご回答いただき、ありがとうございました。勉強になりました。