南町の家は着工に先立ち、文化財の試掘調査が行われた。
この試掘調査で重要な文化財が見つかると、その文化財の保護と把握を目的とした本格的な発掘調査が必要となる。
ただし遺跡が埋まっている深さと、建物工事の際に土を掘る深さが重要な関係を持ってくるから、一概に全てとは言えないが。
一般的に言って木造2階建て程度の基礎ならば、地面から40cmも掘れば、たいていの場合は足りてしまう。
この程度の掘削ならば、仮に重要な文化財が見つかった場合でも、建物を造ることで遺跡を破壊する危険性は少ないと判断され、本格的な調査までは行われないことが一般的だ。なんせ本格的な文化財調査が行われると、半年、下手をすると一年以上は発掘が行われ、その間、建設工事には着手出来なくなってしまうから。
でも地盤が軟弱で、鋼管杭や地盤改良工事で補強が必要となると、地中の文化財を破壊する可能性が高いので、本発掘調査を行わなければならない。工事関係者とすれば、文化財は出てこないに越したことはない。そしてこの土地は地盤が軟弱で、鋼管杭による補強工事が必要な場所なのだ。
幅2m、長さ3m、深さは約3m近くまで掘り下げる。
手前の籠の中に、何やら茶碗の欠片が! 心の中で「止めてー!」と、叫ぶ。
でもよく見ると、結構きれいな茶碗の欠片と瓦の欠片。
そんなに古い物には見えないのだが……。
文化財調査ではなく、ただの工事現場から出てきたら、「誰かガラ埋めたな~」で、終わってしまいそうなのだが(笑)
地面から1m程下の地層の中に、瓦がたくさん埋まっているのが見える。
土の色と深さから、おそらく関東大震災以降の品ではないか、という話。
つまり重要な文化財ではなく、おそらく60年から70年程度昔の物ではないだろうかと、すぐに時代考証ができるから、やはり専門家は凄い。詳しくは、持ち帰って検証するとのことだったが、私が願うのはただ一つ、「本発掘はしなくていい」ただそれだけ。いや、マジで願っている……いや、祈ってるわ。
結果は即日。
結果:セーーーフ~~~。本発掘はなしでした! 祈りが通じた(笑)