日本の手漉き和紙が、ユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。
これは和紙そのものだけではなく、技術やその後継者育成に対する活動も含めてのことらしい。
少し前に、「和食」が登録されたばかりだが、こうした文化や技術が認められ
広く認知されていく事は大変誇らしい。
ほんの何年か前まで欧米の人たちには、日本の家は紙と木で造られていると
揶揄された家も、今では立派に石油製品を主流とした工業製品で造られるようになった
日本の家だが、昔とは違う意味で、「紙と木」の家を、造らなければいけないと感じてしまう。
ビニールクロスが悪いと言う訳ではなく、適材適所に利用すれば良いのであって
それだけが選択肢の全てでは無いという事を知り、その上で判断すれば良いということ。
新建材で気密性を高め、電力を利用した換気設備で換気をするのも悪くはないが
窓を大きく開け、南から北へ、1階から2階へと自然の風を通す方法だって
悪くは無いことを知ってほしい。
何年か前に、室内全体に和紙を張った家がある。
正しくは「月桃紙 ― げっとうし」だが。
月桃紙とは、沖縄で採れる月桃と言う生姜の一種の植物を、原料として造られた和紙のこと。
この月桃には独特の香りがあり、シロアリなどの害虫を寄せ付けない防虫作用や
消毒効果さえある。だから月桃の葉そのものを、魔除けとして使うこともあるらしい。
そんな月桃紙を張った室内は、なんとも言えない独特の柔らかさと
落ち着いた雰囲気を感じさせてくれた。
世界に日本の手漉き和紙の良さが認めらたのならば、
さらに広く国内外の人たちに、その良さを知って貰えるよう
家造りの現場に採用されていくことを願うし、私自身、採用していこうと思う。
こういうニュースを聞くと和紙だけでなく、様々な分野での日本の伝統と技術は
かなり凄いと、胸を張りたくなってしまうのですよ。