Essay 18 子供部屋の有り方

新聞で、中学生の平均就寝時間が「11時28分」と言う内容の記事を見つけた。
寝る時間が遅くなっているのに、朝起きる時間は昔と変わらず、学校の始業時間にも変化が無い。つまり睡眠時間だけが短くなっていて、体力や気力の低下の原因になっているのではないだろうか?』と書き添えられていた。勿論、同じことは小学生にも言えるのでしょう。



残念ですが、どうやら事実だと思います。私が子供の頃には9時には寝ていたし、夏休み中は必ず昼寝をしたものです。余談ですが子供時代、昼寝の時には布団など敷かずに「ボンボン・ベッド」なるもので、寝ていた記憶があります。

この「ボンボンベッド」は、今では「ビーチベッド」等と名前を変え、夏の海水浴場で見かけることが多い「あれです!あれ」のこと。ヒンヤリとして、気持ちが良いのだが、目が覚めると身体中に、ベッドの跡が付いていたのを覚えている。



今の小・中学生達は昼寝などしていないのでは、ないでしょうか?やれ塾だ!お稽古だ!と休みの時だって大忙し。下手な大人より、よっぽどスケジュールが詰まっていそうです。

昼間が、それだけ忙しければ、当然遊ぶのは夜になる。だって、子供って遊ぶのが本来の仕事でしょう?ついつい寝る時間も遅くなり「夜型人間」になってしまう。それに、夜のほうが子供にだって楽しい事が一杯あるでしょう?たとえば、友達との電話やメールでのお喋り。深夜のちょっとエッチなテレビやラジオ。(余談ですが、私は子供のころ11PMが見たくて、TVごと毛布に包まって光が漏れないようにして見ていた記憶がある・・・)暑くなったらエアコン付けて、うるさい親は夢の中。眠ってしまうのが、勿体無いような至福の時。それが夜でしょう。



そんな環境を子供に与えているのは、親なのに「もう、寝なさい!」なんて言っても寝るもんですか!だって、今の子供部屋は快適なホテルみたいですよ。6畳の部屋の中には机やベッドの他に、テレビは有るし、電話やゲームだってある。「うちの子の部屋に電話は有りません!」なんていってもダメですよ。電話の子機を持っていけば同じ事。それに携帯電話だってある時代なのですから。

まだまだ有りますよ。パソコン・ビデオにステレオ、中には鍵の掛けられる部屋だって有る。これで冷蔵庫があったら、私だったら絶対に部屋から出てきませんよ~。


顔さえ見れば「やれ塾だ!やれ宿題だ!」と怒ってばかりいる親の顔を見るよりは、玄関から そーっと部屋に帰って来て、そーっと出かけて行ける、この部屋は天国ですからね。



親は「家」を建てる時、立派な子供部屋を与える事が義務のように考えているのかもしれませんが、それはどうかと思いますねぇ~。自分が子供だった時代のことを、すっかり忘れていませんか?子供部屋を与えれば子供の成績が上がるとでも思っているのでしょうか?


子供が個室で勉強するのは思春期の頃からで、それまでは親の傍で勉強するものです。だから、それまでの子供部屋と言うのは、勉強机が置いてあるだけの部屋なのです。


ひょっとすると、寝るのも子供部屋かもしれません。だから、最低限の広さと、物が置ければ良いのです。思春期になってプライベートな空間を欲しがるようになった時でさえ、必要以上の快適さは「親子のコミュニケーション」の妨げになるだけです。


だから、子供部屋にテレビも電話も要らないし、親の干渉を受けずに部屋に出入りできるような間取りも、好ましく無い。子供が家の中に居るのか居ないのかさえ解からないようでは、家族としては壊れていますからね。



過去に起こった、いくつかの未成年の凶悪事件。たとえば「女子高生コンクリート詰め殺人事件」や「連続幼女誘拐殺人事件」などの犯人達はいづれも、同じように家族の干渉を受けない部屋で生活していました。もちろん、これが全ての原因ではありませんが、事件の発生や発覚を遅らせる要因であったことは事実でしょう。



生活することを、甘く考えてはいけません。現代の社会には、良い情報も悪い情報も飛び交っています。そして、それは10歳の子供でも、容易に手に入れることの出来る時代なのです。幼い子供達には刺激的な情報や誘惑が多い現代こそ、親子・兄弟のコミュニケーションが多く取れる優しい「家」が必要だとおもいます。



あなたの「家」は大丈夫ですか?