暑い。連日、猛暑が続き今日もとても暑い。(今は7月です)
だけど、私はほとんど仕事中にクーラーを使わない。一夏に2度か3度しか使わない。お客さんが来る時だけ点ける・・・そんな程度だ。
だいたい少し暑くなると、直ぐにエアコンに頼るのは良くないと思うんですよ。私は以前、自宅アパートの一室で仕事していた。6畳の部屋にはクーラーが無かった。その中にコピー機は有るしテレビや青焼き(製図用のコピーする機械です)は有るはで、とにかく熱源の宝庫だった。しかも、窓は北側に一つだけ。だから、直ぐに「サウナ」の出来上がりとなった。
唯一の救いは、窓にぶら下げていた風鈴の音だけ。その風鈴は女性からのプレゼントだったせいも有るが、その音を聞くと何故だか、暑さが引くような気がしたから不思議だ・・・だけど、体は汗疹だらけで酷かった。(ホントの話です)それに比べれば、今の仕事場は、窓も一杯有って風も抜けるし快適そのもの。そんな理由で、クーラーは使わないのだ。
住宅設計の仕事をしていると、ほとんどの住まい手は、エアコンを頼りにしている事を感じる。
こちらが、どんなに風の抜け道を造り、電気製品に頼らなくても有る程度は凌げる家を考えても、直ぐに
「そんな時はエアコンをつけます」と言われてしまう。仕方が無いから、こちらも妥協することはあるが本当はそれではいけない。
健康の為にも少しぐらいは、暑さも寒さも感じたほうが良い。家の中で季節も感じた方が良い。花の香りだって感じた方が良い。夏の匂いを感じさせる風だって遊びに来てほしい。
シックハウス症候群だって、少しだけ換気に考慮できれば、症状は押さえることが出来る。とにかく気密性を上げ、家の中の温度だけを調節しようと言う考え方はどこか無理がある。家の中さえ良ければ、外はどうだろうと関係無いと言うことになってしまう。ちょっと極論だが)
小さな窓で良いから北から南へ。1階から2階へと風の抜け道を設ければ良い。
日本と言う国の地形状、一般的に南方向は山か海があることになり、東西方向より風の道になりやすい。だから東西方向よりも、家の中に風を通すには、南北方向のほうが効率的に良いことになる。また、1階と2階の高さを利用した風の道も設けやすい。
暖かい空気は上に動くから1階から2階へと、風は自然に動いてくれる。従って、吹き抜けや階段など縦の穴を上手く設けることが出来れば、家の中の環境は格段に良くなる。そんなことを見直すだけで、家は随分と快適になる。
嘘だと思ったら、一度全部の窓もドアも開けっぱなしにしてみるといい。今までに感じたことの無い物が、家の中にやって来ることを肌で感じることが出来ると思う。そんなところから、快適な家作りの第一歩が始まる事をみんな忘れてしまっている…。
そうだ、今日は久しぶりにあの風鈴を吊るしてみよう。少しだけ優しい風が吹く事を期待して・・・。