Essay 23 若者は2×4がお好き

総理府の調査によると、成人男女の67%が「木造住宅の在来工法」を好むと言う結果が出た。特に年齢層が高くなる程、この傾向が強いらしい。次いで多いのが「ツーバイフォーなどの木造住宅」で、22%の支持を得ている。ところが、年齢層が低くなるほど「ツーバイフォー住宅」への支持率が高い。つまり、「若者はツーバイがお好き」なのだ。

この数字が正しいのかは一概に言えないが、一応「総理府」の「森林と生活に関する世論調査」として発表しているのだから、信用する事にしよう。(取りあえず)



年齢層が高い世代で、「木造 在来工法」(いわゆる 柱と梁で骨組みを作る昔ながらの建て方)が好まれるのは、なんとなく理解できる。そこには、住み慣れた感触や、ノスタルジックなものも含まれているのかもしれない。あるいは、単に他の良さを、知らないだけかもしれないが・・・?



問題は、若い世代が好む「ツーバイフォー住宅」のほうだ。
この発表を読んで「なぜだろう?」と私なりに考えた。その華麗なる推理は次のような内容だ。




○やっぱり「欧米文化」思考

○テレビ・雑誌などのメディアの中で、よく見かけるから

○輸入住宅って、なんかカッコ良さそう!・・・と軽薄な理由

○近所に建っている

○値段が安いと思っている

○「うちは2×4なのよ~」と自慢できそうだから
 (「在来工法」という呼び方が野暮ったい)


○気密性に優れていそうだから

○東山紀之と国分太一が好き

○竹下景子が好き(若い世代には、いないかなぁ?)
○おまけに、宮沢りえも好き


○「ガーデニング」と言う響きと「ツーバイフォー」と言う響きが合うから

○ホントは良く知らないで言っている

○地震に強そうだから

まぁ、こんなところだろう。(見事な推理・・・自我自賛)
確かに、輸入住宅と言うのは増えている。ひょっとすると、値段も本当に安いのかもしれない。その上「ツーバイフォー住宅」の最大の特徴として挙げられるのは、その気密性の良さだろう。北海道などの寒冷地には、もってこいの工法だ。ところが、この気密性の良さが以外と曲者なのかもしれない?

日本と違った「気候・風土」の中で造られた「建築工法」なのだから、日本で建てる時には、それなりに改良されねばならないはずなのに、現実には「外国」で建てるのと、まるで一緒!違うのは基準法に関係する部分だけ。

気密性が高いと言う事は、換気効率が悪いと言う事にも通じる。(もう判った?何が言いたいのか)
そう!「シックハウス症」に対する配慮を、忘れてはならないと言う点です。

この「シックハウス」をなめていると、命さえ失いかねない危険性を持っている。症状は、人それぞれですが、原因は建築材料等に含まれている有毒性物質らしい。その材料は、床・壁・天井と室内の建築材料の他に、カーテンや家具と言った物にまで使われている。

正式には「化学物質過敏症」。有害な化学物質が原因で、その症状は「目の痛み・涙・めまい・頭痛・吐き気・呼吸困難・微熱・湿疹等など」様々。一度なってしまうと、微量の化学物質にも反応して症状が起こるので、外出さえ出来なくなる。「アトピー性皮膚炎」なども、食べ物の影響の他に大気の汚れや、この物質のせいかも?と言われているほど。日本では人口の5%、およそ500万人ほど患者がいると言われています。

余談ですが、私が知っている小学校で、こんな事があった。夏休みを利用して「体育館内」の壁をペンキで塗り直したそうだ。ところが、2学期が始まり生徒が体育館へ行くと、必ず何人かは不調を訴え始めた。原因は未だに不明。これが「シックハウス症」だと決めつける気は無いが、そうではないと言う根拠も無い。

住宅に使用する建築材料には、近年になって有害物質の含有量を規制しているが、それでも換気が悪ければ症状は出てしまう。ましてや住宅以外の、例えば学校などに使う建築資材に関しては、その規制が無いのが実情。医学会でさえ、病気として認定していない。

物には、必ず「表と裏」がある。良い点もあれば悪い点もあるということを、きちんと認識し、それに対処する手立てを打たねばならない。「輸入住宅・ツーバイフォー住宅」を建てたいと希望するならば、くれぐれも換気効率を考え、シックハウスに対する配慮を怠ってはならないと思う。

あなたと、あなたの大切な家族の命は「家」の中にいても、脅かされる時代なのです。今日現在、我が国では、その因果関係は一部しか認められておらず、賠償責任さえ問えないのが実情なのですから。