ハイ!と言う訳で今回は“床暖房”の話しです。え・・・っと皆さんは床暖房って何かご存知ですか?
えっ?床が暖かい奴だろうって(^^;)それはそうなのですが、もっと基本的なことですよ~。それじゃあ今回は、これさえ読めば貴方も「床暖房博士」になれるぐらいに説明しちゃいます。
まず基本中の基本ですが、床暖房と言うのは「輻射熱暖房」であると言うこと。これが基本です。暖房には大きく分けて、3つの熱の伝わり方があるんです。
●熱伝導
●対流
●輻射
の3つなのですが、解りやすく表にしちゃいます。
熱の伝わり方 | 熱伝導 | 対流 | 輻射 |
特徴 | 熱源に直接触って 暖を取るもの | 暖めた空気を対流させて暖を取る | 遠赤外線を放射させ人体の皮膚にある温点を刺激して暖を取る |
代表的な暖房器具 | ホットカーペット 湯たんぽ | ストーブ エアコン ファンヒーター 暖炉 | 床暖房 反射方ストーブ パネルヒーター |
欠点 | 発熱体に触っていないと 温まれない | 部屋の上下に 温度差が生じる 埃が飛び散る | 温点だけでなく痛点までも刺激してしまう |
現在の利用形態 | 補助暖房として使用 | 主暖房して使用 利用率が高い | 主暖房として利用 利用率は対流方式 器具に負ける |
床暖房の優れている点は、直接床に触れると熱伝導としても暖かいことなんです。これは他の暖房器具には無い特徴です。だってストーブ触れないでしょ?
どうですか?床暖房が、温点を刺激する暖房器具だなんて知らなかったでしょ~。ホットカーペットとは全然違うものなのですよ~、お間違いなく。
さて、ではなぜ床暖房が注目されるのでしょう。その代表的なメリットは次のようなものです。
●部屋のどこに居ても暖かい ●床から天井までの室温がほぼ均一 ●足元が暖かい ●吹き抜けでも暖かい ●空気が乾燥しないし動かない ●結露の心配が少ない ●火災などに対して安全性が高い ●置き場所の心配をする必要が無い ●音がしない |
●立ち上がりに時間がかかる ●温度の設定が難しい ●値段を知らないのでイニシャル・ランニングコストが読めない |
の3点だと思いますが少し補足しましょう。
まず床暖房の最大の欠点は、暖まるまでに時間がかかると言うことです。これを解消するのがタイマー式のスイッチなのですが、このあたりのことを理解していないと、朝起きてからスイッチを入れる事になってしまいます。これじゃあダメですよね。
次に温度設定の問題なのですが、床暖房と言うのはストーブやファンヒーターと違って「炎」、つまり火を感じません。だから寒い外から帰って来て、ストーブにあたり汗をかくまで暖まると言うような暖の取り方は出来ないのです。じわじわ~っと温まり、やがて快適になる。それが床暖房の暖まり方です。
そんな暖房器具ですから、理想とすれば24時間運転が一番良いのですが、それではランニングコストが馬鹿になりません。そうかと言って中途半端に運転していても、ちっとも暖かくない。これじゃあ何のための床暖房か解りません。このあたりの事を知らないで使うと、間違いなくクレームの原因となります。
それでは次に「床暖房」の選び方について、ご説明しましょう。
床暖房の熱源は「電気式」と「温水式」があります。どちらも同じ床暖房なのですが、その特徴は随分違います。
●温水式床暖房の特徴
温水式の場合、その燃料はガスと石油に分かれます。ガス方式の場合、都市ガスが敷設されていない地域では基本的には使えません。また石油式の場合はボイラーでお湯を沸かすので、給湯器を使っていると思えば想像しやすいでしょうか?
石油を熱源とするものがランニングコストでは一番安いかもしれませんが、低温で長時間の運転が効率の良い使い方なので、その点をご自身の生活と照らし合わせてお考えください。一日の大半が誰も居ないような家では、24時間運転なんて勿体無いですからね。
また石油の供給は石油業者に依頼されたほうが良いので、その設置場所や配達の対象地域になっているかなどの事前の確認もお忘れなく。石油タンクは意外と大きいのです。
●電気式床暖房の特徴
電気式の場合は、狭い一部分だけの敷設も可能です。例えば台所の作業スペースだけとか、居間のテーブル周りだけと言った限定した場所での利用が出来ます。これは温水式には無い大きな特徴と言えると思います。
ただしイニシャルコストは一番高いです。深夜電力を利用した「蓄熱式」の床暖房などを取り入れると、ランニングコストの面では有利かもしれません。その辺りの設備的な考慮を、お忘れなく。だって、深夜電力を使うなら給湯にも利用するなんて事だって出来ちゃいますからねぇ~。
では一番知りたいランニングコストはどうでしょう?。これは家を建てる地域や床暖房の敷設面積といった様々な条件により変わってくるので、ここでは目安だけ単刀直入に書いてしまいます。
いくつかの部屋や大きな部分に使うのなら「温水式」で、狭い部分や一部屋だけに使いたいなら「電気式」が良いでしょう。細かい点は、様々なメーカーのカタログのほうが細かく載っていますからね。
最後に個人的な意見を少し書かせてもらいます。
まず床暖房を採用するときは床材が限定されます。特に電気式の場合は配線を組み込んだ材料が普及しているために、選択肢が狭いかもしれません。
また使用する床材の厚みが厚ければ、一度暖まると「蓄熱体」が厚い分だけ温度差を感じにくくなります。ただし立ち上がりに、時間が掛かると言うデメリットも生じます。材料の厚みが薄い場合は、その反対。
床暖房に相性の良い床材と特徴 | |
フローリング等木質材 | 厚さ8.5mm以上15mm程度の床暖房専用材が適。厚い物の方が値段は高いが温度は安定する。コストとのバラスが重要 |
カーペット | 10mm以下の厚みが適。ただしフェルトを敷く物は不適。 |
クッションフロア | 熱伝導率が高いため立ち上げ温度が早く、かつ下がりやすい。 |
コルクタイル | 5mmから7mmまでが適。 |
石 | 15mmから30mmで本磨きの天然石材が適。 |
畳 | 床暖房専用のもので25mm程度の厚みが適。 |
また大切なのは床暖房を主暖房として使うのか、補助暖房なのかの見極めです。これは住み手自身が決めなければいけない大切なことなので十分にご検討ください。これが決まらないとイニシャル・ランニングコストまでが読めなくなってしまいます。それじゃあ、設計出来ないですから(笑)
私の拘りを3つほど、ご紹介しましょう。床暖房を採用する場合、家具はベタ置きするようなソファーや底面積の広いものは選ばない。熱がこもって危険なのと、折角の床暖房が台無しになるから。
どうせ敷設するなら窓のギリギリまで敷設した方が、冷気を遮断して暖房効果が高い。エアコンだって窓際から室内に向けて設置するでしょ?あれと同じことです。
床の下地性能がとっても重要なので、水平精度や断熱材の敷設状況を正しく出来ているか確認しましょう。若しくは確認してもらいましょう。
こんなところかなぁ~。だいぶ端折って書いてしまいましたが重要なポイントは抑えていると思います。これから床暖房を採用しようとお考えの方の、お役に立てば何よりです。ではまた!