Essay 116 壁を探しに?

「無いなぁ・・・フェンスの下のブロックじゃあ駄目だし、民家の壁だと怒られちゃうし・・・」と、散歩しながら探してみたんですが、適当な壁が近所には無いんです。大きければ大きいほど良いのだけど、まぁ高さ2m程で幅も2mもあれば充分だろうと思うけど。 探す事20分、「有った!」あはは、こんな所に調度良い壁が!


探していた壁は、近所の市役所の駐車場で見つけました。高さは2階建て分有るから充分だし、幅も広すぎるほどある。壁には窓も無いし凸凹してる訳でも無い。おまけにRCの建物・・・バッチリ!しかも今日は日曜。文句なし!


さて、私は何の目的で壁を探していたのでしょう?答えは簡単。一人キャッチボールが出来る壁だったんです。女性の方は経験が無いかもしれませんが、男の方は一度ぐらい経験がありませんか?


大きなコンクリートの壁に向かって、ボールを投げては捕る。投げては捕る。ただそれだけを、飽きもせずに繰り返すだけ。一昔前の男の子の、一人遊びの定番です。もっとも今でも野球は、男の子達の遊びの一つで、サッカーやゲームと同じぐらいやってる光景を見かけます。ところが、一人キャッチ・ボールをやっている光景は見かけないんです。そう、大きな壁が無いから。


昔は近所の駐車場や、造成地、公園の公衆トイレの壁や階段、学校の壁と言った具合に、結構壁があったんです。白い壁には大抵、軟球の痕やドッチボールの痕が付いていたもんです。でも今は怒られちゃうんでしょうね。


以前、工事に携わったお宅の入り口に、コンクリート製の郵便受けと表札を兼ねた、壁を作った事があるんですがコンクリートの型枠を外した次の日には、シッカリと難球の痕が付いていて、そこのオーナーと二人で大笑いした事があります。「こう言うの・・・良いよね」って。


男のお子さんを持つお父さんて、子供とキャッチ・ボールしたがりませんか?キャッチ・ボールってある程度投げて捕れるようになれば、大人と子供って言うハンディが無くなりますよね?つまり、男と男が遊んでいる。お父さんは童心に帰ってボールを投げ、子供はお父さんと遊んでもらう。たった1個のボールで充分、親と子が遊べる。なんともシンプルで良いですよね。


子供は次にお父さんとキャッチ・ボールをしてもらえる時までに、少しでも上手になりたい、あるいは仲間と野球する時までに上手になっていたいと思い、一人の退屈な時間を壁に向かってボールを投げるのかもしれません。

考えてみれば「部屋でゲームばかりやらないで・・・」と言いますが、表で遊べる場所、チョットした壁や木陰を作る木、チョークや蝋石(ろうせきって知ってる?)で、道路にイタズラ書きする事すら出来ない。自分たちの子供時代に有って、今は無くなってしまった物が多いのに、「外で遊べ」とばかり言うのも、無理があるのかもしれませんねぇ・・・・・。せめて健やかに・・・・・それが願いなだけなんですがね。


さぁ!キャッチボールしよっと!