Essay 123 続・横浜21世紀座の話

横浜市中区の仮説ドームシアター「横浜21世紀座」話の続編です。6月2日(土)の新聞によると、神奈川県が同劇場を12億3千万円で買い取ったのは公金の無駄な支出にあたると、「かながわ市民オンブズマン」が、知事に買い取り費用を県に買収するように勧告を求める、住民監査請求を起したそうです。


簡単に言えば「知事の立場で、県にその金返してよ」と言いなさいと求めたと言う事なのでしょう。(これも解りにくいか?だって知事と県の立場の違いって解り難いですよねぇ~?)


まぁ、その説明は置いといても、この買取りに関しては私も甚だ疑問です。大体、この事業立ち上げ当初、県は「民間の事業だから説明する必要はない」と、県民に詳細を説明しなかったにも係わらず、事業が破綻した途端に「県が実質的な推進主体だから救済する責任がある」と言い出す始末。オイオイ、そりゃあ~あんまりいい加減じゃないの?


おまけに事業が破綻する原因となった道路騒音問題に対しては、「県としては騒音の測定はしていない」と言ってるんです。それじゃあ買った建物が、今後使えるかどうかさえ解らないでしょう???庶民の感覚で言えば「買っても使えない可能性の高い物に大枚叩く馬鹿が何処に居る?」って事じゃないですか?違う???


整理すると、納得のいかない点は7つです。
●その1
もともと建物計画の段階で外部騒音に対する配慮を、どんなふうに考え、どんな対処をしていたのでしょう?設計ミス・施工ミスを含めた問題点は無かったのでしょうか?今までの数ある「仮説シアター」は、交通量の多い道路脇に建てられた事など無かったような気がするんですが?


●その2
もし神奈川県が実質的な推進主体だからと主張するのなら、当然建物の計画段階で「問題なく事業が推進できる建物への配慮」を最大限にしていたのでしょうか?


●その3
神奈川県は、坂東氏が騒音問題を理由に辞任した際に「騒音は一般的な受任限度内」と発言していましたが、騒音値を測っていないのに、どうしてそのような発言が出来たのでしょう?そして「受任限度内」ならば、なぜ坂東氏の降板を認めてしまったのでしょう?坂東氏の監督降板は、事業の失敗を意味する大問題だった筈なのに?


●その4
問題の有ると言われている建物を「県税」で買い取るのに、なぜ問題の有無の事実確認をしなかったのでしょう?通常時の騒音を測ると言った程度の事実確認が、なぜ出来なかったのでしょう?


●その5
神奈川県が実質的な事業推進主体だと言うのならば、当然事業の採算性は考えている筈です。舞台公演に問題があると演じる側にレッテルを張られた建物で、どう言った「事業計画」を考えているのかが全く不明なのは何故でしょう?


●その6
もし今後建物を問題なく利用するとして、その前提に「問題個所」の改修あるいは改善が必要だとしたら、その費用の捻出を一体どう考えているのでしょう?


●その7
つまるところ、これ一体誰の責任なの?何で神奈川県民が、その尻拭いをしなければならないの?全然理解出来ないのは私だけでしょうか???


建築にまつわる様々な問題が生じている現在、これも「人事ではない」大きな問題の一つだと思います。箱物行政が破綻した今、事業による収益の増大を狙う気持ちは解ります。東京都が考える「カジノ構想」だって、その一つなのかもしれません。でも、今回の「21世紀座」の件は、あまりにも不明瞭でいい加減です。その結果、大事な県税をドブに捨てるつもりだとしか思えません。


官がこんな事やってるから民が真似するんです。いくら自分の財布からお金を出していないからと言って、いい加減にも程が有る!少しは弱い者の身になって考える事は出来んのか!