Essay 124 坪単価住宅の謎

メールで頂きました質問を御紹介したいと思います。ご質問の内容は次のような物でした。

『住宅メーカー等で<坪単価○○万円の住宅>と言う広告を見かけるのですが、同じ坪数で部屋数が違う場合、部屋数が少ない方が使われている材料は良い材料になるのですか?』と言う物。


簡単に言えば、仮に坪単価が50万円/坪だったとして、同じ30坪の家を建てる時に、4LDKの間取りの家と1LDKの間取り家が有ったとします。この二つの建物の工事費が、同じ1500万円だとすれば、当然1LDKの家の方が「良い材料」を使っているのですか?と言う意味でしょう。


なるほど・・・部屋数が少ない方が壁や巾木も少ないですし、ひょっとすると窓だって少ないかもしれない。おまけに工事は単純なのだから、値段が同じなら材料の質が上がってなければオカシイ?と言う事なのでしょう。鋭い!目の付け所が違う!しかも核心を突いている。


結論から先に言いましょう。答えはNOです(あっさり)

念のために2社の住宅メーカーと、1社の建築条件付住宅を扱う不動産会社に問い合わせたところ、「部屋数に指定が有る訳では無いし、少ない部屋数を望まれるのは、お客様のご都合ですから。この部屋数以上ならば、この材料を使い、少ない部屋数ならば、この材料を使うと言う分け方はしていません」との事でした。


惜しかったですねぇ~。でも当然だと思います。坪単価で建物の値段を決める場合、想定している部屋数は3LDKか4LDKと言う所だと思います。これは単純に核家族を想定しているのだと思います。この場合、夫婦と子供2,3人だと考えれば、部屋数はおのずと限定されますよね?


その想定の上に成り立った考え方ですから、同じ坪数だけど部屋数が少ない家だけを、特別扱いするような真似はしないでしょう。だって何処で分けたら良いか難しいですからね。


でも建てる側の身になって考えれば「減額の対象」と思うのは当然の事だと思います。もっとも、そう単純に行かないのが「坪単価」が決められている家なんです。


でも、おかしいと思いますよね? 極端に考えれば「3畳間が15室並ぶ家」とか、平屋の30坪と2階建ての30坪だって全然違う物だと思うんですけど?


私、住宅メーカーじゃないので悩んじゃいます。メーカーで営業をされている方は、疑問に思わないのですかねぇ。それとも、そんなこと一々考えてたら仕事にならんか?


これから「ハウスメーカー」で、坪単価が決まっている家を建てようとしている方が居たら、聞いてみてくれませんか?で、その答えを教えて下さい。私も参考にしますから。


「節約だ~ローコストだ~」と言われる方は多いですが、本当の意味でのローコストって何でしょうね?不透明な建設資金なのに、目を引く広告に載っているからと言う理由だけで「この家に決め~た!」なんてお考えの貴方!その家が本当にローコストなのか、一度内訳書を見せて貰えませんか?


坪単価が○○万円と言う宣伝文句に釣られて踊らされているなんて、ネタのある手品を見て「すげえなぁ~」と本気で感心している子供と同じです。


有る結婚詐欺師が自伝の中で、こう書いていました。
「世の中は騙す奴と騙される奴の二種類しか居ない。騙す奴が悪いと言うのは、裏を返せば騙される奴が如何に多いか、と言う事なんだろう?」とね。建設業界にも通用するのかなぁ・・・・・?



と、ここまで書いた段階で、某大手住宅メーカーが坪単価30万円を切る住宅を販売するとの噂を耳にしました!これまた凄い値段ですねぇ~。なんでも広告費や販促費を限りなく抑え、外国で材料を調達するために出来る低価格らしいのですが、本当かなぁ~?


大体、材料はともかく人件費をどうやって抑えるのでしょう?昨日まで日当1万円で働いていた職人がも今日から半分の5千円で宜しくね?って事何ですかねぇ~?それとも人件費はそのままで、材料だけを極端に抑えたのか???それって材料費がただ同然てこと?


もっとも可能と言えば可能なような気もします。なぜならばメーカー住宅って、展示場の維持費や広告費・人件費を抜けば価格の6割程度に押さえる事が出来ると言う話を、某住宅メーカーの人間に聞いた事も有るから。


さてさて、これからますます住宅業界、特に中小や大工さんが大変になって行きそうな感じですねぇ~。


来月!住宅業界に嵐が吹き荒れる!(ガチンコ風)・・・って感じですねぇ。