Essay 164 シックハウスの話 2

以前シックハウスの定義や、その背景に触れましたが、「じゃあどうすりゃあ、シックハウスにならないの?」と言う、誠に核心を突く、しかも答え難いご質問を頂きました。


考えてみれば、そうですよね。「能書きはいいから、対応策を教えろ」って感じですよね。
ところが、この質問に対する明確な答えを持ち合わせていないのが、正直な所なんです・・・スイマセン。
例えて言うと「花粉症にならない方法を教えろ」とか「絶対に風邪引かない方法は?」に近いものが有ると思います。そんなの知ってる人、居ます?


最近の住宅建材に於いては国の基準が設けられ、使用してはいけない原材料等の規定が設けられています。ですから一昔前に比べれば、だいぶ安全には成ってきていますが、「だから絶対大丈夫!」なんて訳には行かないと思います。何故って人の体は十人十色、その体質・症状・もって生まれた遺伝子が違うのですから、「これは大丈夫で、これは危険です」なんて決め付ける事自体、無理ってもんです。
(そこまで責任持てませんし・・・)

それでも少しでも危険を回避したい場合、私が気をつけているのはこんな感じですかねぇ。


■その1
ホルムアルデヒドを使っている材料を極力使わない。
この「極力」と言う点がミソ。残念ながら現状では、完全に使わないと言うと嘘になります。内装の下地材になる合板等には、多少でも接着剤が使われており、この接着剤に有機リン系の材料が使われているから。ですからFc0やFc1と表示された、使用量の少ないものを使うことが大切ですね。付け加えるとすれば、同じ「Fc0」にも幅があります。限りなくゼロに近い物から、限りなく「Fc1」に近い物まで様々です。本当に拘るなら、この辺りを知る事も大切ですね。


■その2
風の抜けを考慮した間取を考える
これは前にも書いた通りですが、やっぱり換気が大切。特に新築から3~5年は、換気に心掛けると言うのは常識です。(アパート、マンションも勿論同じ事)ですが風の通りが悪い間取では、、これさえも上手く対応できません。東西・南北・1~2階と言うように、風道を考えた間取りを大切にする事が、結果的にはシックハウス対策にもなると言う訳です。


■その3
床材は特に注意する
床暖房をしない場合は、出来るだけ無垢の板が良いと思っています。床は住む人が一番触る所です。まして赤ちゃんが居る場合には、床は第二のベッドに近い。その場所に一番気を使いたいのは、当然ですよね。


ただし床暖房をする時には、若干の注意も必要。なぜなら無垢板に床暖房は、何かと問題が有るから。(これ単純に相性の問題)
無垢板と言うのは、簡単に言うと柔らかい生木です。だから肌触りも良いし、夏涼しく冬暖かいのですが、同時に急激に暖めたり、あるいは冷やしたりを繰り返すと、反ったり、ひび割れたりしちゃいます。ですから直接床に熱を伝える床暖房とは、相性が悪いってこと。特に熱が急激に立ち上がる電気式とは、特に相性が悪い。その辺は充分、お気をつけを下さい。


それから「畳」を選択する場合は、畳床に気を使いたいと思っています。なぜって・・・最近、畳の下に新聞紙を敷いてるお家なんて無いですよね?あれは新聞の印刷に使う油の、防虫効果に期待していたからなのですが、今の畳はスタイロ畳が主流です。それって本当に大丈夫?・・・・・って気がするんです。勿論、本床を使った高級な畳の場合には、この限りでは有りませんが、それって若干高いんですよね~、だから。

話が反れてしまいましたが、その4へ戻りましょう。


■その4
埃りが溜まるような家具の上や、部屋の隅を作らないように考える。
これ単純に「掃除すれば?」って気がしますが、掃除もなかなか大変じゃないですか~。毎日、隅から隅まで掃除機かけて、箪笥の上も掃除して、塵一つ無い家をキープする事なんて不可能。だったら、なるべく掃除しやすく造っておいた方が良いですよね。


■その5
勝手口は欲しいかも?
別に勝手口に拘る訳ではないんですが、室内にゴミを貯めておくのは避けたいと言う事。溜まる前にドンドン捨てちゃえば良いのですが、1度出し忘れたら暫くは台所に置いておく状態・・・・・なんて言うのは、極力避けたいものです。ゴキブリやねずみを呼ぶ事になるし、それらがどんな物を連れてくるか解らないから。家ダニやノミ、害虫の類も気にしたいものです。


■その6
扉より引き戸
扉だと「少しだけ開けておく」って言うのが、なかなか難しいのですが、引き戸だとこれが可能です。これも換気を考えた上での配慮ですね。(個人的には、引き戸を開ければ一室空間!みたいなのが好きなのですけどね)


まぁ言葉に表すと、そんなに凄い配慮と言うのは、出来そうで、なかなか出来ない者なのかもしれません。ただ、「そう言う危険性もある」と言う事を、知っている事が大切だと思います。今はお手軽な「VOC検知器」みたいな物も売られていますので、これらを購入して実際に検査してみるのも一つの方法かもしれません。


花粉症などのアレルギーと違い、シックハウスになってしまうと逃げ場が有りません。一番落ち着きたい場所に居る事が、症状を悪化させるのですから、これは凄く辛い事です。


これからも時代のニーズに合わせた、新建材の類が登場すると思いますが、自分が大切にするポイントを絞り、正しく選択する事が必要なのかもしれませんね。