D.BOX  新築設計新築設計

化学物質を排除した仕切らない小さな家

D.BOX  新築設計イメージ

階段は塗装の必要があるスチール製を避け、ステンレス製を採用。その下部に可動式の収納ボックスを設置している。イメージ

ステンレス製の流し台は、完全オーダーメイド。その証でもあるロット番号を記した、大阪のキッチン製作メーカー「Lu pur」の品。イメージ

1階室内には内障子を設けている。遮音性や断熱性のはカーテンなどよりも優れており、同時に柔らかな印象も与えてくれる。イメージ

壁の向こうには洗面所とトイレ、そして浴室が設けられているが、そこに扉はない。イメージ

トイレの向こうにはガラスで仕切られた浴室。抜けと潔さを表す設え。イメージ

小さな家を望んだのではなく、家人の希望を積み上げた結果の大きさは、心地良い家となった。イメージ

一戸建て住宅/木造2階建て

敷地面積
113.60㎡
建築面積
36.44㎡ (11.02坪)
延床面積
65.43㎡ (19.79坪)
設計期間
2001年7月~2002年3月
監理期間
2002年7月~2002年12月
施工会社
株式会社バウムスタンフ (敬称略)

神奈川県小田原市

コメントアイコンCOMMENT

「シックハウス」と言う言葉が、まだ世に知られる前に、施主は化学物質を使わない家を、すでに計画されていました。また花粉のアレルギーにも悩まされていたので、それらを家に持ち込まないことが、家造りの基本コンセプトとなりました。接着剤や塗料は勿論ですが、合板に使われている接着剤も、一切排除したいと考えました。また建材に対する気遣いだけではなく、埃が溜まらず、掃除のし易いことを追及しています。つまりハウスダストも嫌ったのです。

そんな考え方は、家の間取りに表れています。まずこの家には「玄関」と呼べる場所がありません。小さな勝手口は二か所ありますが、インターホンや郵便受け、表札などを設けた玄関は存在していないのです。だから初めてこの家を訪れる人は、どこから入れば良いのか迷ってしまいます。次に室内に招かれた人は1.2階の、どの部屋も区切られていない開放的な間取りにも、戸惑いを覚えるようです。トイレにも扉は設けられておらず、視覚的に見えない工夫がされているだけです。浴室も寝室だってオープンです。それは掃除し易いという利点だけでなく、余計な物を持たないという家人のライフスタイルそのもの。

他者の視線や常識の為ではなく、何処までも住み手の為だけに造られた、小さな住み易さだけを考えた家なのです。